うつレポ

うつのココロの中にはブラックホールが存在してる感じ

うつのココロの中にはブラックホールが存在してる感じ

うつの時は、ココロの中にブラックホールが存在しているような気分になることがあります。

ブラックホールといえば、なんでも吸い込んでしまう宇宙に開いた真っ黒な穴というイメージではありませんか?

ブラックホールの存在は、アインシュタインの「一般相対性理論」によって導き出されたものですが、当時アインシュタイン自身は、数式上では成立するが、実際にはあり得ないものだと考えていたそうです。
それが実在するらしいことがわかってきて、ついに2019年4月、画像の撮影に成功するに至っています。「アインシュタインは正しかった!」ってニュースになりましたよね。

ブラックホールについては、ざっくり次のような特徴が挙げられています。

  • 宇宙に開いた穴ではなく、極端な密度の高さによって、非常に大きな重力で物質を引き寄せる、大きな星の成れの果て。
  • 重力が強すぎてまわりの空間をねじ曲げ、光さえも吸い込んでしまう物質が脱出できない空間。そのため宇宙に開いた穴のように真っ黒な天体となる。
  • 人間が解き明かした物理法則が壊れる場所。

サイエンスとしてブラックホールの謎を追いかけるのも興味深いのですが、光さえも吸い込んで脱出できない黒い穴というイメージから、うつ病のココロの比喩としても使われます。

うつ病はココロにブラックホールがあるようなもの

生きる意欲が極端に低下して、思考力・集中力もなくなり、落ち込んだ状態が長く続くうつ病の症状。
まるで、ココロの中にブラックホールが存在し、正しい思考を歪め、ポジティブなさまざまを吸い込んでいるように感じます。

実態のないココロの中に、シコリのような重いものがあるような感覚もあったりするので、それこそまさにブラックホールが存在しているように思えちゃうのです。

うつの症状を経験のない人に理解してもらうのは、とても難しいものです。
気分の落ち込みくらい誰だってあるじゃないかとか、甘えてるだけとか言う人は少なくありません。

うつ病に苦しむ当事者は、とても傷つきますし、「お前もなってみろ!」と呪いの1つでもかけたくなります。

でももしかしたら、ココロの中にブラックホールが発生したような感じといえば、イメージを理解できる人が増えるかもしれません。

心象風景の中にも現れたブラックホール

これは私個人の経験です(うつの人全員がこういう経験をする訳ではありません)。
最初にうつ病となって、休職する直前のことでした。何を考えても「お前はもうこの世には必要のない存在だ」という結論に行き着いてしまうことがありました。

会社のオフィスにいるのが辛く、近くを流れる川の土手にあるベンチに座り、しばらく川の流れを眺めていた時のことです。
川の向こう岸に広がる空の一部に、黒いシミのようなものが現れて、みるみるシミの漆黒さが増し、宇宙につながる穴のようなものが現れました。
ぼんやりと「あぁ、ブラックホールが現れた」と思いました。
意識がそのブラックホールに吸い込まれていくように感じましたが、そこに吸い込まれると、もうこの世に存在しなくなるという危機感を覚えたのです。
ぎゅっと目をつぶり、再び目の前に広がる風景を見ると、当然そんな漆黒の穴なんて存在していません。心象風景をリアルで見てしまったんだ、と思いました。

そういえば、明治の文豪・芥川龍之介の作品「歯車」では、神経を病んでいた芥川の心象イメージとして、目の前に大きな歯車が現れるというのがあったな、と思い出したりしました。

その後も、ふとぼんやりした時に、風景の中にブラックホールが現れることが3回ありました。症状が回復するに従ってもう現れることはなくなりましたが、あれはなんだったのだろうとは今でも思います。

ブラックホール研究で先進的な考え方を持っていたホーキング博士

スティーヴン・ホーキング博士:うつのココロの中にはブラックホールが存在してる感じ

ブラックホールは、光さえも吸い込んでしまう物質が脱出できない空間とされていますが、脱出することができると考えた科学者がいます。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の天才物理学者、故スティーヴン・ホーキング博士です。

ブラックホールは、情報とエネルギーを消滅させるのではなく、新しい形でまた空間に開放するという考え方をしていたようです。
ホーキング博士はブラックホールの撮影に成功する前に故人となってしまいましたが、なんとなく希望が持てる考え方です。

そんなホーキング博士が、うつ病で苦しんでいる人たちに向けて、メッセージを送っていたことはご存知でしょうか。

2016年、74歳の誕生日前日に行われたロンドンの王立科学研究所でのラジオ番組公開収録(BBCリースレクチャー)でのことです。博士はうつ病をブラックホールに例えて「そこから抜け出すことは不可能ではない」と説きました。
博士自身も21歳でALS(筋萎縮性側索硬化症)宣告を受けたことでうつ病になった経験がありました。
だから、リアルななかに優しさのこもった刺さるメッセージになっています。

ホーキング博士からうつ病患者さんへのメッセージ

Power of Positivity」に掲載された記事の翻訳を引用します。

「足元を見るのではなく、空を見上げることを忘れないで。決してあきらめないでください。頑張ることに意味や目的があり、人生はそれがなければ空虚なものです。
もしあなたが幸運にも愛を見つけることができたなら、それを大切にして。どんな時にも投げやりな気持ちを起こさないで」

「私が伝えたいことは、ブラックホールは見た目ほど真っ黒ではないということです。
これまで考えられていたような永遠の牢獄ではありません。
ブラックホールには他の宇宙への出口があり、それはうつ病についても同様です。ですから、皆さんがブラックホールの中に入り込んでしまったような気分に陥ったとしても、決してあきらめないでください。
出口はあるのですから」

*日本語訳は grapeの記事から引用しました。

難病に冒されながら、精神力と高い知性を駆使し、宇宙を語るうえでキーパーソンであったホーキング博士。
決してあきらめないことが大切であると、身をもって伝えてくれたと思います。

ABOUT ME
二ゴ
うつ病になったのは10年前。それから復職、再発の休職を繰り返し、気づけばもう50代。元の自分に戻るのではなく、別の新しい自分にならなきゃともがいて生きてる最中。同じようにシンドイ思いをして生きてる人にむけて、情報共有できればとこのサイトを始めました。あなたは一人じゃないよ♪