ココロとカラダ

ストレス対処の基礎知識:ストレスコーピング

ストレス対処の基礎知識:ストレスコーピング

うつ病になるとストレスに弱くなってしまうことは、あるあるなこと。
過労とストレスだけがうつ病の原因ではないと言われていますが、さまざまな身体の不調をきたすようになるのは明らかです。
ストレスは大敵。

ありとあらゆるストレスが待ち構えている社会で、いちいちダメージを受けていたら身が保ちません。適当にストレスをやりすごす術を身につけておかないと、うつがまたひどくなってしまいます。

ストレスをコントロールして、少しでも軽減させる方法を「ストレスマネジメント」といいます。
その代表的なものが「ストレス・コーピング」。ストレス対処のグローバル・スキルとされています。
概念的なものなので、その知識を知っただけでは、役に立たないかもしれません。
でも、確立されたそのスキルを知っていれば、そこから自分だけのストレス対処法を身につけていくことができると思います。

ストレスを、ストレッサーとストレス状態に分けて考えてみる

ストレス対処の基礎知識:ストレスコーピング

厳しい環境を「ストレッサー」といい、その環境に何とか順応しようとしている状況のことを「ストレス状態」といいます。
普段何気なく使っている「ストレス」という言葉を、ストレスを与える事象を「ストレッサー」、自分に感じる負荷を「ストレス」と分けて考えてみましょう。
そうすることで、ストレッサーの何がストレスに感じるかを明確にすることができます。

例えば、<上司Aさん>の存在がストレスだと漠然に捉えるのではなく、<上司Aさんが言う、私に対する批判的な小言>がストレッサーになっていると抽出してみます。
その<批判的な小言>を受け止めるのが負担となってストレスと感じている、というように考えます。

ストレッサーには、人の言動や状況、仕事内容、寒暖差、騒音、有害物質などいろいろあります。

ライフイベントのストレス度

一度は見たことがあるかもしれませんが、人生のさまざまなイベントが、どれくらいのストレス度になるかの一覧表があります。

出来事 ストレス値 出来事 ストレス値 出来事 ストレス値
配偶者の死 100 妊娠 40 配偶者が働き始める,仕事をやめる 26
離婚 73 性的な障害 39 学校に入学する・卒業する 26
配偶者との離別 65 新しい家族メンバーの獲得 39 生活条件の変化 25
拘禁(期間) 63 ビジネスの再調整 39 個人的な習慣の変化 24
親密な家族メンバーの死 63 経済状態の変化 38 上役(ボス)とのトラブル 23
自分のけがや病気 53 親密な友人の死 37 労働時間や労働条件の変化 20
結婚 50 他の仕事への変更 36 睡眠習慣の変化 16
失業(解雇) 47 借金やローンでの抵当流れ 30 休暇 13
(定年)退職 45 職場での責任の変化 29 クリスマス 12
家族メンバーの健康上の変化 44 息子や娘が家を離れる 29 軽微な法律違反 11

これは、配偶者の死を100点、結婚を50点とした場合、人生のさまざまな出来事にどれくらいストレスがあるかを数値化したものです。
アメリカの調査なので、これがそのまま日本にあてはまるワケではありませんが、目安にはなります。

一覧表を見ると、ストレッサーは悪いことばかりでなく、いいこともあるのがわかります。
また、この表はライフイベントについての数値化ですが、通勤のための満員電車や車の渋滞、家事の負担を1人で背負わされているとか、毎日毎日繰り返されることで溜まっていく「慢性ストレッサー」というのもあります。

どこまでなら我慢できて、どうなったら限界かは、人によってさまざま。
もともとの気質としてストレス耐性が高い人もいます。自分が大丈夫だから、他人も平気と考えるのは、乱暴なことなんです。
とくにうつになると、ストレス耐性が弱まってしまう傾向があるので、以前平気だったことまで、ストレスになってしまうことがありますから。

ストレスコーピング(対処法)の3つの方法

ストレスコーピング(対処法)は、心理学者ラザルスが提唱した考え方です。
ストレスマネジメントのグローバル・スキルとされているので、知識として身につけておきたいものです。
コーピングは、ざっくりと3つに分類することができます。

  1. 問題焦点コーピング
    ストレッサーそのものに働きかけて、それ自体を変化させて解決を図ろうとすること。
  2. 情動焦点コーピング
    ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、それに対する自分の考え方や感じ方をポジティブなものに変えようとすること。
  3. 気晴らし型(回避型)コーピング
    どうしようもないとあきらめてストレスはストレスのまま受け入れてやり過ごすこと。
    一般的に「ストレス発散」といわれるもの。

この説明だけだと「ふーん」と思うだけで、実感が沸きにくいと思うので、先ほどの例に出した、上司Aさんを持ち出して、それぞれのコーピング方法の具体的な適用方法をみていきましょう。

試みやすいのは、「情動焦点コーピング」を使って、上司Aさんへの見方をポジティブに変えていくことではないでしょうか。
<批判的な小言はイヤではあるけど、自分を成長させてくれるアドバイスをくれていることも事実なので、まずはありがたく受け取って自分で咀嚼しよう>
そんな風に自分の考えを変えていきます。

しかし、それでもストレスが軽減されない場合。
<いくらありがたいアドバイスだと思い込んでも、言い方に悪意を感じることがある。すべてをポジティブに受け取ることはできない>
と我慢の限界がきそうなら、「問題焦点コーピング」にシフトして、上司Aさんに直接働きかけてみます。

<いつもいただく私への批判は、アドバイスとして受け取っております。ただし、言い方に事実を伝える以上の感情的な言葉が含まれています。私は肝心のアドバイスよりも、その言い方に強いストレスを感じてしまいます。このことをを考慮していただけますか>

と、伝えることができたとしましょう。勇気がいることですよね。
伝えることは伝えたけれど、理解して実際に言い方を直してくれるかどうかは、わかりません。
上司Aさんが納得して自分で改善してくれるようにならないと、変化はないでしょう。

この点は難しいですよね。
アドラー心理学でいう、課題の分離です。上司Aさんの言動が変わるかどうかは、相手の課題ですから。

コーピングの手法として、「情動焦点コーピング」→「問題焦点コーピング」で解決を図っていくとありますが、「問題焦点コーピング」は自分ではどうにもならないことが多いため、難しい場合が多いと思います。
その場合は、相手の変化を望むよりも、相手から離れる、距離を取るという方法で対処することになります。

もしパワハラやいじめにあっていた場合は、相手を変化させようと思っても、さらに悪いほうへエスカレートしてしまう可能性もありますから、相手から離れるという方法しかないようにも思います。

問題への積極的なアプローチをするまでもない程度なら、「気晴らし型(回避型)コーピング」で帰りに一杯やったり、ずっと欲しかったものを買ったりして、憂さ晴らししようということになるかもしれません。
このほか、自分の好きなことーー映画を観たり、好きな音楽を大きな音量で聞いてみたり、スポーツをしたり、食べ放題に行ったり、といった楽しみをするきっかけに転嫁していく方法もあります。
これが一番手軽といえば、手軽ですよね。

ストレスの対処法は、人それぞれ違う

ストレスを受けた時、軽いパニックになったり、イライラが募ったり、怒りをおさえられなくなったり、いろんな生理的反応があらわれます。
そんな時、とっさにとれる対処法を、いくつ持っていますか?
焦って余裕のない状況でしょうから、なにかしらの対処法を準備しておかないと、ストレスをまともに受けたままになってしまいます。

そこで、ストレッサー・リストを作っておくという方法があります。
自分にストレスを与えるストレッサーを思いつくかぎり書き出していきます。エクセルにまとめてもいいかもしれません。そのストレッサー1つ1つに対して、こういう対処ならいけそうというのを書き出しておきます。
実際そのリストにあるストレスを受けた時、そこに書いた対処法で効果があったかどうかをフィードバックして、リストを更新していきます。

こんな時には、こんな対処法。
そんな自分マニュアルを用意することで、より自分にあったストレス・コーピングができるようになると思います。

またリストを生かす方法として「セルフトーク方式」というのがあります。
ストレスを受けて、ネガティブな気分に陥ってしまったら、漫才のつっこみのように、自分の思考につっこみを入れるのです。

  • 「自分は何をやってもダメなんだ…」→ 「でも納期は必ず守るじゃん」
  • 「ブログの内容がまとまらないー」→ 「コーヒー煎れて資料を読み直したらいいやん」

ってな感じでね。これはできそうな気がします。

どんな対処法が自分にあっているか

ストレス対処の基礎知識:ストレスコーピング

ここで1つ心理テストです。

無人島になにか3つ持っていくとしたら、何を持っていきますか?
3つの優先度もつけてみてください。


このテストの回答で、どういう傾向のストレス対処法が自分には合っているのかがわかります。
イスラエルで、市民のストレスケアと予防に取り組んできた中から生まれた援助モデル「BASIC-ph」アプローチと呼ばれる方法です。

さぁ、あなたは何を持っていきますか?
ちなみに僕は、発電機、テント、ベッドでした。

持っていくものの種類で、それぞれどんな対処法があっているのかがわかります。この対処法を要素と呼びます。
6つの要素の頭文字をつなげたのが「BASIC-ph」です。

  1. Belief(信念)要素
    聖書、お守り、数珠を持っていくという人
    ▶︎ スピリチャルなものの力を借りるとストレスを解消できる
  2. Affect(感情)要素
    親や恋人からの手紙などを持っていく人
    ▶︎ 自分や他者の強い感情によって立ち向かっていける
  3. Social(社会・対人)要素
    最愛の人、ペット、サバイバルに詳しい人などを連れていく人
    ▶︎ 他者からの力を借りて安心する
  4. Imagination(遊び・空想)要素
    ゲームなどの遊び道具や、魔法の杖、ドラえもんのポケットなどを考えた人
    ▶︎ 遊びや趣味に没頭し、空想の世界に浸ることで元気になる
  5. Cognition(現実・認知)要素
    テント、ロープ、サバイバルナイフなどを持っていく人
    ▶︎ 現実的な解決策を探っていくことで元気になる
  6. Physiology(身体)要素
    食料、水、ストレッチポールなどをもっていく人
    ▶︎ 身体を使って運動、たくさん食べたり、お酒を飲んで元気になる

僕が持っていくとイメージした「発電機、テント、ベッド」は、みんな[C]の現実的な解決策を求めるタイプなんですね。
僕の場合は3つとも[C]ですが、3つそれぞれ違う要素という人もいるでしょうね。その場合は優先度がどうだったかを見ていきます。

このテストによって、先ほど紹介したストレス・コーピングの「気晴らし型(回避型)コーピング」に、何が適しているかがわかると思います。

まとめ

  • ストレスは、ストレッサーとストレス状態とに分けて考え、ストレッサーを明確にします。
  • ストレスコーピングには3つの方法がある。
    「問題焦点コーピング」 「情動焦点コーピング」 「気晴らし型(回避型)コーピング」
    「情動焦点」→「問題焦点」とシフトしていくことが理想ですが、我慢の限界に近い場合は、関係を断つ、逃げるという方法がある。
  • ストレスの対処法は人それぞれ違うから、自分マニュアルとして、ストレッサーリストを作っておくと役立つはず。
    セルフトーク法で、ストレスを受けてイヤな気分になっている自分に、自分でつっこみを入れてみるという方法も冷静になれるかも。
  • 無人島に持っていくものという心理テストで、ストレスの対処方法の適正がわかる。
    イスラエルで生まれた「BASIC-Ph」モデルと呼ばれるものがある。

ストレッサーは悪いことから良いことまで、さまざま存在します。
ストレッサーとどううまく付き合っていくかは人それぞれなので、自分なりの対処マニュアルを作っていくのがよさそうです。

スポーツ選手のように、ストレスや緊張感を強い集中力に昇華させていくことができたらいいな、と思います。

ABOUT ME
二ゴ
うつ病になったのは10年前。それから復職、再発の休職を繰り返し、気づけばもう50代。元の自分に戻るのではなく、別の新しい自分にならなきゃともがいて生きてる最中ですけど、同じようにシンドイ思いをして生きてる人にむけて、少しでも励みになりたいとブログを始めました。