近未来SF映画の世界に入り込んだかのような気分になる、工場夜景の見学。
SF映画のよう、という言葉が最初に出てしまうのは、工場夜景の魅力を語る上で常套句になりますが、それだけで言い尽くせているわけではありません。
SF映画であるなら、空想上の物語を展開するために世界観としてある風景です。しかし目の前に広がる工場の景色は、実際に稼働し、モノを生み出している施設なのです。生きているのです!
広大な土地にそびえ立つ巨大な建造物。無機質で複雑に配置されたパイプ群は、まるでいきものの血管のよう。ライトアップされているのは、見せるためではなく、そこで働く人の安全のため。煙突から吹き上がる炎、蒸気。
すべて造形美をねらったのではなく、現実的な理由でそうなっている、非現実的な景色。
あぁ、素敵、カッコいい。
工場萌えという感覚が、堂々と口に出せる時代でよかった。
昭和の時代にあった、工業地帯=公害というネガティブイメージを、工場夜景という観光資源としてポジティブイメージに転じてみせた川崎市観光協会の本気度もすばらしいです。
東京から気軽に行ける、川崎の工場夜景見学ツアーについてレポートします。
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[はとバス]話題の川崎工場夜景スポット
東京駅南口から、はとバスに乗って川崎の工場夜景スポットを巡るツアーに参加しました。
[はとバスツアー]話題の川崎工場夜景スポット
バスガイドさんが同乗しますが、川崎エリアに入ると、工場夜景を案内してくれる川崎市観光協会の職員さんが案内してくれます。
この職員さんのガイドがすっごくマニアックで、川崎の工場夜景のどこをどんな風に楽しむかを、「ブラタモリ」のロケをしている気分で、基礎編を学ぶことができます。
*そもそも工場夜景ブームの火付け役が「タモリ倶楽部」での放送だったとのこと。
たとえば、日没間際の「薄暮」の時間帯は、工場の煙突やタンクなどの表面が、シルバーからシャンパンゴールドに輝く美しさを楽しむことや、造形が特徴的な建造物にはそれぞれ愛称がついていることなど、とにかく面白い。
川崎コリアンタウンにある焼肉店で早めの夕食をとった後、バスはまず「川崎マリエン」に向かいます。
川崎マリエンは、川崎の凱旋門と呼ばれるアーチ型の高層建築で、川崎港と市民の交流を深めるため川崎市によって造られたコミュニティー施設。その最上階は、360度展望できるフロアとなっており、川崎港はじめ工場地帯を一望することができます。
次に訪れるのは、川崎工場夜景の人気ランキング第1位の「千鳥町 貨物ヤード前」。
日本触媒の化学工場とその脇を通る貨物線の線路を見ることができます。
線路のすぐ脇には、カメラを三脚に備えて貨物列車を撮影しようとしている人たちがたくさん集まっていました。
この場所を工場+線路で撮影しようとすると、三脚立てて長時間露出は必須です。
この場所の模範写真は「工場夜景ランキング」サイトに掲載されている写真をご覧ください。
そのほか、ある会社の屋上に特別にあがらせていただいての夜景見物、東扇島東公園から対岸にある浮島町の工場を眺めるスポットを訪れます。
工場地帯には、登記上一般住宅はありません。
これだけの施設がありながら、外から見ると人の気配がまったくないのが不思議に感じます。
ここで働いている人たちは、どうやってここまで来るのですか?思わず案内をしてくれている職員さんに聞いてしまいました。基本は、バス。なかには自転車で通っている人もいるようです。
また工場は交代制で24時間稼働していますから、工場内に宿泊設備もあります、とのことでした。
このツアー、工場夜景萌えな人を現地まで案内してくれるのと、詳細なガイドが魅力的ではあるのですが、工場内に立ち入るわけではないため、できるだけ近くまでいって眺めたいという願望が、ちょっと不完全燃焼でした。
そこで今度は、もっと間近で工場の姿を見たいと思い、運河の方から見学する「川崎工場夜景屋形船クルーズ」に申し込んだのです。
[屋形船]川崎工場夜景屋形船クルーズ
屋形船に乗って、工場地帯が密集する埋め立て地の間を通る運河から、間近で工場夜景を見る。これぞ、求めていた経験でした!充実の2時間です!
申し込んだのは、「旅プラスワン」にある長八海運株式会社が主催の「【川崎発】最長2時間のロングコース!新しい川崎の風物詩!川崎工場夜景屋形船クルーズ」というツアー。
川崎駅前にある日航ホテルの入り口に集まり、そこからマイクロバスで船着場(塩浜)へ送迎してもらって、約2時間の屋形船クルージング。食べ物は持ち込み(酒類はNG)で、船から工場夜景を見るだけの体験。料金は1人4000円という安さが魅力です。
「旅プラスワン」の人気ツアーランキング堂々の第1位を続けています。
このクルーズでも川崎市観光協会の方がガイドをしてくれたのですが、目の前に広がる景色があまりに魅力的だったので、ただただ見とれているか、カメラのシャッターを切っていました。
しかも前日が中秋の名月だったことで、明るい満月も美しく、幻想的で非日常感が増し増し。
はとバスのツアーで見た工場も、間近から見るとモニュメント感がすごい。機械音も響いてきて、まさに生きて動いているという実感を味わうことができました。
ちょうどこの日は、はとバスツアーでも行った東扇島東公園で、「BAYCAMP」という音楽フェスを開催していました。
だだっ広くて何もない公園なんですけど、首都直下地震等を想定した東京湾臨海部基幹的広域防災拠点になっていると知って、納得。
周囲に住宅がないので思いっきり音出しても苦情が来ないことから、音楽フェスが行われるんです、と案内されたのが、まさにこのBAYCAMP。ちょっとだけ雰囲気を感じることができて、トクした気分です。
屋形船に乗ったら、おとなしく席になんかついてらんない。ずっとデッキにあがって、やたら写真を撮りました。
季節が変わると、立ち上る水蒸気の感じで景色の表情が違って見えるというので、また行ってみたいと思います!
屋形船で見られる主な工場