おひさまがガンガンに照っている夏が終わって秋になると、なんとなく気分が物憂げになります。
冬季うつになる人にとって、涼しさが増していくこの時期は、冬眠のような不活発状態に陥ってしまう時期がまた襲ってくるのか、という不安がつのってきます。
冬季や梅雨の時期にうつっぽくなってしまうのは、日照時間が少なくなることが原因とされています。
人は太陽の光を目から受けることで、脳内に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌されます。セロトニンは感情、睡眠と覚醒のリズムをコントロールして、精神を安定させる働きをしています。
太陽の光を浴びる量が少なくなると、このセロトニンの量も減ってきて、気分が落ち込んで気力がなくなったり、甘いものをドカ食いしてしまったり、過眠を引き起こす原因になります。
日照時間をシュミレートする高照度光療法というものがあります。
太陽光に近い強い光を発するライトを、毎日一定時間浴びて日照時間の減少を補い、セロトニンの安定生成を行おうというもの。
セロトニンは、覚醒のコントロールもしています。これで朝が弱いことも改善できれば!
冬季うつの症状にここ数年もがいてしまう私。
つぎの冬は少しでも症状を改善したい思いから、Amazonで「光療法LEDライト」を購入し、使い始めました。
今回は、セロトニンについてと、光療法LEDライトの使用報告を書いていきます。
セロトニンのはたらき
ざっくり幸せホルモンと紹介した「セロトニン」は、脳内で喜怒哀楽などの感情にかかわる神経伝達物質。
快感・意欲ホルモンと呼ばれる「ドーパミン」と、緊張・怒りホルモンと呼ばれる「ノルアドレナリン」とともに、三大神経伝達物質とされています。
セロトニンは、ドーパミンとノルアドレナリンが暴走して精神バランスが崩れるのを抑制して、脳内神経のバランスを安定させます。脳を活発に働かせ、平常心を保つのに重要な役割を持っているのです。
セロトニンの分泌が多いほど、ストレス耐性があり、意欲が生まれ、気分をポジティブにキープすることができるのです。
またセロトニンは、脳内だけでなく、消化器官にも多く存在しています。セロトニンが不足すると、消化器官のぜん動運動が弱まってしまうため、便秘になります。
これを知ると、セロトニン増やして幸せに生きたーい、って思いますよね?
次の章でセロトニンを増やす方法を紹介しますが、減らしてしまう原因はなんでしょう。
セロトニンを減らすのは、日照不足であることを書きました。
さらにもうひとつの原因に、ストレスの蓄積があります。
今を生きる人の多くは、セロトニンが不足気味。室内にいる時間が長く、運動不足なうえ、ネットによる過剰な情報接触や人間関係によるストレスにさらされているから。
セロトニンが不足するとうつ症状に陥りやすくなるし、うつ病になるとセロトニンが不足してしまう。
セロトニンが十分にあればストレス耐性ができ、ストレスが蓄積されるとセロトニンが不足する。
うつ病、睡眠障害に陥ってしまった人には、セロトニンはよく知られた存在です。治療や情報収集のなかで、目や耳にすることが多いからね。
でもでも。健康な人だって、セロトニンの役割を知ってしまうと、不足しないように意識したくなる存在ですよね。
セロトニンを増やす3つの方法
セロトニンが足りないのなら、ケーキを食べればいいじゃない。
そう、セロトニンが不足すると、体が甘いものを欲するようになります。
甘いものを食べると、一時的にセロトニン値を向上させることができるのですが、あくまで一時的。すぐに下がってしまいます。
欲望にまかせて、甘いものばかりを食べ続けてしまうと、デブになるのはあきらか。適度にしましょうね。
セロトニンを増やす方法は、次の3つ。
-
太陽の光を浴びる
太陽の光が目から入ることで、脳内でセロトニンが生み出されます。
1日に15〜30分程度、太陽の光を浴びましょう。
朝起きて30分以内に浴びる朝の光は、覚醒のスイッチをオンにするので、生活リズムを整える働きも期待できます。セロトニン量を増やすだけなら、日中であれば光を浴びる時間帯は朝に限らなくてもいいようです。太陽の光でないとダメなの?雨の日はどうするの?
明るさの数値でいうと5,000ルクス(雨の日の屋外)〜10,000ルクス(快晴の屋外)〜100,000ルクス(雪山・真夏の海岸)の範囲にある自然光であればいいようですよ。コンビニの店内もけっこう明るいけど、と思ってしまった自分。
コンビニ店内は、JIS照度基準で都心部750〜1,000ルクスと決められているようです。1,000ルクス…やはり自然光にはかなわないんですね。 -
トリプトファンを食べ物から摂る
セロトニンの材料となる必須アミノ酸の「トリプトファン」を摂取しましょう。
トリプトファンは、体内で生成することができないので、食べ物やサプリから摂る必要があります。
もっとも効率的な食べ物は、ずばりバナナ。セロトニン生成に必要なビタミンB6と糖質(果糖)も一緒に摂れるので、セロトニンブースターとも呼ばれています。ほかにトリプトファンが含まれる食品として、乳製品があります。ただし含まれるアミノ酸が多く競合してしまうため、炭水化物を一緒に摂ってインスリンを分泌させないと、トリプトファンを脳内に到達させることができません。
チーズ+パンなどお気に入りの組み合わせを作るといいですね。
トリプトファンを得る食品として紹介されているナッツ類には、セロトニンそのものが含まれています。ただし脳内でなく消化器官の方へまわるようですよ。 -
リズミカルな運動をする
一定したリズムを刻む運動を反復することで、セロトニン分泌を促すことができます。
運動というと体操のようなものを思い浮かべてしまいますが、左右の足を交互に出すウォーキングがまさにリズミカルな運動です。ジョギング、サイクリング、水泳などもそうです。
また歯磨きや食べる時の咀嚼もリズミカルな運動に入るんだそうです。うつ病の治療で、朝起きて家から出られる程度に回復してきたら、お散歩をしましょう!とアドバイスされます。
朝のお散歩は、太陽の光を浴びて、リズミカルな運動をすることで、少なくなってしまったセロトニンを増やすのに有効なことがわかりました。
さらにバナナをプラスすれば!いや、バナナだけでなく乳製品+炭水化物の朝食をしっかり摂ればバッチリですね。
あと手軽なところでは、ラジオ体操もイイそうです!思い出してやってみましょう!
ストレス耐性をつけるために、うつでない人にもイイですよね。
高照度光療法に頼ってみた
私は、朝起きてから動き出せるまで、小一時間以上かかってしまいます。
うつ症状が強い時はさらに午前中いっぱい体がだるく、意識がはっきりしない状態が続いてしまうこともあります。朝のお散歩はハナからあきらめてました。
そこで注目したのが「高照度光療法」のLEDライト。
そもそも、うつと日照時間を関連づけられたのは、地球の高緯度地域で冬季うつの発生が多いということから。
そこで試しに夏を感じさせる強い光を浴びたらどうだろう、という発想からはじまったのが高照度光療法。
単純な発想ですが、効果が認められ、治療として確立されたのです。
高照度光療法は、冬季うつに改善がみられるばかりでなく、睡眠障害によって生活リズムが崩れた人にも朝の覚醒に効果があるとされています。
高照度光療法には、太陽光に近い10,000ルクスの強い光が必要なのですが、LEDのおかげでその条件をクリアしたポータブルな製品がいくつか出ています。しかも実勢価格4千円台からという手軽な価格で。
これがあれば、朝起きてすぐに動き出せない人にも、部屋の中でビカーっと光を浴びることができます。
天気の悪い日だって、まだ薄暗い時間の朝だって、ビカーっと部屋で10,000ルクスですよ!
セロトニンを増やす方法をあきらめなくて済みます。
光療法LEDライトの紹介
僕がAmazonでポチっとしたのは、これ。
光療法 ライト 10000ルクス光療法 ライトセラピー タイマーオフ ホワイトフルスペクトル ベッドサイドランプ LEDライトボックス [Amazon]
届いた製品は、パッケージも製品そのものも、白いiPadみたいな感じ。紫外線を含まない自然光に近い明るさを、目に突き刺さらないフラットな光で発します。
明るさは、3つのモードを切り替えて使えます。
1)5,600ルクス(雨の日の屋外程度)、2)11,000ルクス(快晴の屋外程度:弱)、3)32,000ルクス(快晴の屋外程度:強)
はじめは、3)32,000ルクスにすると、部屋の中にこの明るさのものがある違和感も手伝って、かなり強く感じてしまいます。
2)11,000ルクス(快晴の屋外程度:弱)でも、光療法の条件はクリアしていますから、まずこのモードで目を慣らしてから使いはじめるといいと思いました。
この製品にはタイマー機能は付いていないのですが、付いている製品もあります。
製品名に「ベッドサイドランプ」とあるように、ベッドサイドに目覚まし時計と一緒に置き、目を覚ましたら自分の意思でスイッチオンにすると、光が目に入る刺激もあっていいかと思います。
光を浴びている時間は、製品説明では、2)11,000ルクスモードで1日30〜60分が目安とあります。
私の場合は、目覚まし時計で起きたあと、とりあえずベッドを出て近くのソファに体を移し、そこでライトをスイッチオンさせます。
Amazonベーシック タブレットスタンド マルチアングル ポータブルスタンド タブレット/キンドル/スマートフォン用 シルバー [Amazon]
製品をタテに固定させるスタンドが付属していますが、けっこう奥行きをとられてしまうので、コンパクトなタブレット用スタンドを購入しました。
LEDライトは、スイッチと電源ケーブルを刺す下の部分だけ、タブレットよりも厚みがちょっとあるため、正位置ではこのスタンドにはまりません。上下逆にしてスタンドにセットすれば、問題なく使えます。
(もっとコンパクトな自立スタンドが付属した製品もあります)
光療法LEDライトを浴びて、朝のスイッチを入れる
この記事を書いている時点で、約2週間余り光療法LEDライトを使用してみました。
先にも書いたように、私は起きてから活動ができるようになるまで、1時間くらいじーっとしているアイドリングタイムが必要な人間。
6時頃に起きて、熱い紅茶を無意識のように用意して、少しずつすすりながら、ぼぉーとスイッチが入るのを待ちます。体が動き出せるようになったら、前夜のうちに用意してもらった朝食をあたために動き出します。
いつものルーティンに、LEDライトをつけて強い光を浴びるという行為をプラスです! まずは2)11,000ルクスモードから。
光療法を説明している写真を見ると、光源に顔を近づけて見つめているものがありますよね。
製品の説明によると、光源と向き合って光を見るのではなく、顔の横にライトを置いて、視界に光が入るような状態でいいようです。
光とにらめっこして数十分というのは正直キツイと思っていたので、これは一安心。
光を浴びながらスマホを見ることもできます。
はじめの2、3日、新しいことをはじめて体が(脳が)慣れていなかったせいか、強い光によって緊張感が急に高まったせいか、気持ち悪くなってきてしまいました。15分くらいでライトを消し、気分を落ち着かせてしばらくじっとしていることに。
それでも毎日続けていくうちに慣れてきましたよ!
1週間過ぎたあたりから45分間光を浴びて、7時前には活動モードに切り替わるパターンがだんだんと定着してきました。
朝の動き出せるまでの行動抑制は、この光療法でコントロールできるようになったように思います。
これは、自分にとってはけっこう大きなことで、自己肯定感を保つのにかなりプラスになっています。
何日やれば明らかな効果があるってものではないのですが、なにかしら効果があると言われているものなら、試してみるのはいいですよね。
2019年12月31日追記:
この記事を書いたのは、光療法LEDライトを使い始めて2週間経過という時期ですが、2ヶ月半継続して使ってみました。結果、朝は6時〜7時に必ず目が覚めるようになりました。目覚める時間を一定にする、という習慣は身についたように思います!
冬季うつと高照度光療法
セロトニン分泌量が減ることで、気分の落ち込みや甘いものの過食、仮眠といった症状が現れることがわかっています。
そのことから、セロトニンを生成する日照時間が少なくなる冬季や梅雨の時期に、うつ病・うつの再発が起きやすくなるのです。
日照時間がそれほどまで脳内に影響を与えるなんて、学ばなければ思いもしなかったこと。
ならば日照時間をシミュレートする高照度光療法は、うつの治療だけでなく再発の予防にも役立つはず。
高照度光療法は、冬季うつを患う人の6、7割に効果があると言われています。
どうか、効果のない残りの3、4割に入りませんように!
ただ強い光を浴びるだけでなく、効率的にセロトニンを増やすために、他の2つの方法ーートリプトファンを摂ることと、リズミカルな運動をセットに行うのがポイントになりそうです。
筋トレでも、ただ重たいものを上げ下げするだけでは、効果が頭打ちになってしまいますよね。
正しいフォーム、フォールアウトまで追い込むこと、十分なタンパク質の摂取など、同じやるなら効率を求めるようになるのと同じようなものでしょうか。
朝起きたら、光療法LEDライトを浴びながら、効率的にトリプトファンを摂れるバナナを食べて、軽い反復運動をする。
冬季うつは、本格的な冬の到来前、日照時間が減る秋から、症状が少しづつ出てくる人もいます。
いま、この時期から光療法LED療法を習慣にして、冬季を乗りきりたいと思います。
*一般的な抗うつ剤には、セロトニンの量を減らさないような働きがあります。
うつの症状を改善していくには薬の服用がマストですけど、自力でセロトニンを増やしていけるようになりたいです!
ストレス耐性があって、意欲をもてて、平常心と幸せ感を得る日々を送るため、セロトニン活動、セロ活をしていきましょう!
太陽の光を浴びるか、光療法LEDライトの光を浴びて、トリプトファンを摂って、リズミカルな運動をする。
意識高い系まで自分を奮い立たせなくても、これだけなら無理なく続けていけそうです。