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今日は寝るのが一番よかった
まずは、体調が悪かったり、動く気力が「0」状態で、1日ゴロゴロと寝ているしかなかった日の夜に、この曲をお届けしましょう!
トリプルファイヤーの「今日は寝るのが一番よかった」
メンタルを病んでる人に寄り添った内容の曲というわけではないのですが、1日無駄に過ごしてしまったかもしれない罪悪感に対して、深刻にならず肯定してくれてるこの曲、愛おしさを感じずにいられません。
ファンキーでありつつちょっと呪術的とも言える伴奏に、ちょっとヘタレなラップともポエムリーディングとも違うボーカル。
この取り合わせ、「変な音楽」という印象を持つ方もいるかもしれませんが、ハマるに値するクセを備えてます。
僕は、ハマりましたよ!
トリプルファイヤー LIVE 「アルティメットパーティー5」のすべて
トリプルファイヤーは和製キングクリムゾンか?
トリプルファイヤーの音楽。
やたらクオリティの高い伴奏は、プログレロックの帝王:キングクリムゾンの「ディシプリン」時代の音楽を彷彿させます。
トリプルファイヤーのアルバムタイトルである「エピタフ」も、キングクリムゾンのデビューアルバム「クリムゾンキングの宮殿」に収録された、叙情的なメロディに預言者の言葉のような歌詞が乗った名曲のタイトルからとったもの。
という正当な説明よりも、『ジョジョの奇妙な冒険』第5部に登場するスタンドとして、「キングクリムゾン」と「エピタフ」を関連づけて記憶している人も多いことでしょう。
現代の日本に現れた和製キングクリムゾンなのか、トリプルファイヤーは!
キングクリムゾンの音楽は、芸術の域に達したロック。
世俗から離れた崇高な精神性を追求したような音楽なのです。すっごくカッコいいです!
に対してトリプルファイヤーの場合、伴奏はキングクリムゾンっぽいのに、そこに乗るボーカルの歌詞は、精神性云々の抽象的な概念というよりも、今を生きる20〜30代男性のリアルな思考を言葉にしているように感じます。
決してアートをしようとしてるワケじゃない。承認欲求は強そうだけど、そんなにイケてない隣に住んでるお兄さんみたいな近さ。
ちなみにボーカルの吉田くんは、根暗な星野源なんてネットに書かれてますが、顔つきはまぁ、なんとなくそうかも(笑)
歌詞に同時代的なリアルさがある
かつて、Mr.Chilren「イノセント・ワールド」の歌詞に、同時代的リアルを感じた記憶があります。
それでも今思えば、内省的で文学的な歌詞だったかなと思うのです。
トリプルファイヤーの歌詞に感じる妙なリアル感…
- 「トラックに轢かれた」に出てくる、意識高い系の人間でもトラックに轢かれるという無情とスッキリ感。
- 「戦争の話」の大事なことなのはわかってるけど、今それ話すのは空気読めてないだけじゃ?という躊躇感。
- ファンキーなフレーズとボーカルが妙にマッチしている「バー」の、このレベルで楽しく不安にもならない奴だけ、ここには集まっているというシーンを客観視した時の不安感。
- 「鋭いアドバイス」の心理的にコントロールしてくるような人間に対する対処方法。
- 「Jimi Hendrix Experience」のジミヘン体験がある人とない人とじゃ違うという体験による人種の違い。
決してシニカルさを前面に打ち出しているわけじゃない。ヘタレさを売りにしているワケでもない。
先にメンタルを病んでいる人に寄り添った内容というわけじゃない、と書いたけど、展開されている歌詞の世界は、うつアカウントのツイッターで流れてくる投稿に近いものがあると感じます。
自信のなさや社会不安もありつつ、自分のテリトリーから出ずに、なんとかうまいことやっていきたい、という願い。
社会にはとくに何も期待してない感じ。
もっとファンが増えますよーに!
僕はとっくに20〜30代を超えてしまったけど、この感じがなんだかすごく身近に感じます。
きっと社会的な成功者じゃないからなんだろうな。
でもそんなことどーでもいいことなのかもしれない。独特なフレーズの積み重ねで気持ちよくなって、みんなでただ体を揺らして漂っていたいと思うんです。
もっとファンが増えますよーに! みんな、とりあえず好きになってよ!