うつ病についての情報を読んでると、「寛解」って聞き慣れない言葉が出てきますよね。
ニュアンスとして、うつが治ったことを指すみたいだけど、なんでこういう言い方するんだろ?
ということで調べてみましたよ。
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「寛解(かんかい)」ってなに?
かんかい
【寛解・緩解】
《名・ス自》全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること。
完全に治った状態じゃないんだ!
ってことは、うつ病って一度かかると、完全には治らないってこと?
だから、よくなって復職しても、またうつを再発しちゃう人が多いの?
病院の医師は、「うつは治る病気だから」と言ってくれました。
口頭では「治る」という言葉を使っていますが、専門医がかかわっている文章では「寛解」という表現になっています。
正しくは「寛解」と言うのが正しいのだけど、耳で聞いても伝わらないから、わかりやすく「治る」と言ったんだな、と振り返って理解しました。
あれだ。素人はホームページというけれど、業界人はホームページの意味が違うからWebサイトっていうのと似たようなもので。
ところで、国立国語研究所が「病院の言葉」を分かりやすくする提案というのを公開していて、その中に「寛解(かんかい)」が入っています。
次の4段階で説明をしています。
- まずこれだけは
- 症状が落ち着いて安定した状態
- 少し詳しく
- 症状が一時的に軽くなったり,消えたりした状態です。このまま治る可能性もあります。場合によっては再発するかもしれません
- 時間をかけてじっくりと
- 病気の症状が一時的に軽くなったり,消えたりした状態です。このまま再発しないで,完全に治る可能性もあります。しかし,場合によっては再発する可能性もまだあるかもしれません。再発しないようによく様子を見ていただく必要があります。ですから,定期的に検査を受けたり,薬を飲んだりしてください
- こんな誤解がある
- 病気が完全に治った状態だと誤解されやすい。一時的に症状が軽くなったり消えたりしているのであって,治ったわけではないことを,伝える必要がある。
つまり、うつは、完全に治るわけではなくて、病気の症状が落ち着いて、安定した状態に持っていくことがゴールなわけですね。その安定した状態をいかに長く保てるか、が肝であると。
”うつ病の8割ほどはほとんど以前の元気が回復している状態=「寛解」状態を迎えることができるとされています。”
(厚生労働省「こころの耳」より)
そういう意味で「治る病気だから」と医師も言ってたんですね。
「こころの風邪」ってフレーズが誤解しちゃう
うつ病について、まるっと治る気になっていたのは、病気というのはそういうものって思い込みもありますが、「うつはこころの風邪」というキャッチフレーズも誤解を与えていると思います。
風邪みたいに誰でもかかる可能性のある病気だよ、特別な人だけがかかるものではないんだよ、という意味でのキャッチフレーズなのはわかります。
でも「風邪」はあまりにカジュアルすぎるんじゃないかな。
薬飲んで数日寝てれば治るみたいな印象をもってしまいますよね。うつもそんな風に治るもんだと。
実際は、思った以上に時間がかかって、なかなか治ったという実感を持つまでにいけません。
こんなに治らないのは、自分が異常なの?と余計な不安を抱くことにもなってしまいます。
ちなみに「こころの風邪」ってフレーズは、抗うつ剤を医療市場に広めるために製薬会社グラクソ・スミスクラインがうったキャンペーンのコピーなのです。うつ病に対する認知が今ほど一般的でなかった日本の医療現場に対して、意識改革をはかった広告コピー。結果として「認知」は広まりましたが、今ならいっぱい注釈がつきそうです。
抑うつ気分や気力の消失など、気持ちの部分に問題が生じている自覚はあるけど、治療は「脳の病気」としての投薬になりますよね。
はじめの頃、こころ=脳なの?とよくわからなくて悩んだものだけど、「うつは脳の病気です」とスッパリ言ってくれた方が、いろいろ納得できます。
気持ちだけでなくいろんな身体的な症状も出ますからね。
脳がトラブル起こしてると思えば、わけわからなくならずに、とにかく休もうという行動に行き着けます。
もっといいキャッチフレーズができればいいのに!
うまいこと付き合って生きていこうってことか
うつは完全に治ることはない、というのはわかりました。
でもこういう指針もあります。
大うつ病性障害の寛解について:
- 寛解 → 2週から8週間無症状であること、つまりうつ病の診断基準を満たさず、わずかな症状しかないこと
- 回復 → 寛解が8週間以上続くこと
ここでは「回復」という言葉が出てきます。「寛解」が8週間以上続いた以上ということで。
うつ病がよくなって、仕事に復帰する時期が、この「回復」期であるべきと考えると、症状がでなくなってから8週間以上後になってからであるべきなんですね。
とはいえ「寛解」状態では、場合によって再発する可能性もまだあるかもしれないので、薬の服用を続けて、ストレスの回避方法を身につけ、気をつけて生きていかないといけない。
うつになる前の環境や生き方を続けていたら、またうつになっちゃうよ?
ということをひっくるめて、迂闊に「治る」という言葉を用いず「寛解」というのか、を学びました。
まとめ
- 「寛解」とは、全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること。
- うつは、完全に治るわけではなくて、病気の症状が落ち着いて、安定した状態に持っていくことがゴール。
- 「こころの風邪」ってフレーズが、カジュアルに風邪のように治ると誤解を与えてしまう。
- 「寛解」状態では、場合によって再発する可能性もまだあるかもしれないので、気をつけて生きていかないといけない。
だからうつの場合、元の状態に戻ることに固執せず、新しい自分に生まれ変わるつもりでよくなっていくんだ、と言われていることに納得してしまいます。