悪夢をみるうつの方が多いというのをツイッターで知りました。
悪夢は誰でも経験するものだけど、うつの方は朝起きた時に疲れがひどく、ダメージが大きい。
先日、久しぶりに悪夢をみました。
それがきっかけとなって、うつと悪夢について調べたことをまとめます。
※ はじめに、戦争や震災、暴力などで受けた心的外傷後ストレス障害(PTSD)による悪夢は、独自の症状として語る必要がありますので、この記事では除外しています。
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眠るのが怖くなる悪夢
命が脅かされるような差し迫った恐怖や、強い不快感がリアルに展開する悪夢。
ふつうの悪夢は、目が覚めてしまえば、部分的にぼんやりとしか思い出すことができず、やがて忘れてしまうもの。
でもふつうでない悪夢は、目が覚めた後、肉体的な疲労感をともない細かい部分までしっかりと思い返すことができ、夢をみていた時の緊迫した感情がそのまま持続してしまいます。
うつの方がみる悪夢は、後者のふつうでない悪夢が多いようです。
これでは、睡眠が休息になりません。余計に疲れる。
また悪夢をみるかもって思うと、眠ること自体が怖くなってしまいますよね。
まるでホラー映画「エルム街の悪夢」のよう。夢の中での死が現実の死となる、怪人フレディが現れる悪夢。寝るとあの夢をみてしまうかもしれないと思うと、眠れない。
映画は置いておいて。
繰り返す悪夢は、うつ病、不安障害による脳の状態だったり、その治療薬の作用によるものだったりするようです。睡眠障害の1つ「悪夢障害」にあたります。
夢をみること自体、脳が記憶と情報を整理する活動です。やはり脳が関係してることなんですね。
悪夢障害とは?
悪夢障害という診断を医師がするのには、次のような基準があります。
- 中途覚醒(夜間の目覚め)が繰り返しみられ、その時ひどく不快な夢が思い出せる
- 夢は恐怖や不安、怒り、悲しみ、嫌悪感など不快な感情を伴う
- 目を覚ましてからも悪夢の内容を鮮明に思い出すことができる
- 夢体験自体およびその結果生じる睡眠の障害によって、患者は著しく悩まされる
- 明け方・睡眠後半に悪夢をみる
悪夢の具体的な内容を深掘りするのではなく、ひどく不快な感情を伴う夢であること、起きてもはっきり思い出せることがポイントのようです。
夢の内容を分析するとなると、夢に潜む無意識を把握しようと試みるフロイトやユングの縄張りになるんですね。
夢とレム睡眠
よく知られたことですが、おさらいです。
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という異なる2つの睡眠状態があり、夜寝ている間、この2つの睡眠状態が交互に繰り返されています。
レム睡眠
眠りが浅く、夢はこのレム睡眠時にみます。
脳の中では、記憶と学習に関わる扁桃体や海馬といわれる大脳辺縁系が、起きている時と同じように活動しています。
活動して何をしているかというと、情報の整理、統合を行って、記憶の定着が起こっていると考えられています。
扁桃体と海馬こそ、うつ病にかかわる脳内の部位です。
うつ病になると、扁桃体によるネガティブ感情が暴走し、隣接する海馬は萎縮するというトラブルが起こっているんです。
ノンレム睡眠
睡眠が深く、脳の休息状態。パソコンでいう「スリープ」状態。
脳にある大脳皮質の神経細胞活動が低下して、脳全体の血流も低下します。
睡眠の約75%はノンレム睡眠で、残り約25%がレム睡眠という割合なんだそうです。
2つの睡眠状態は、70〜110分で交互に繰り返され、その切り替わるタイミングで目が醒めると、すっきりと起きられるとされています。
ネガティブ感情を解毒するための悪夢
睡眠時の脳は、肉体的な疲れを解消して、感情を和らげるように促す働きをしています。ネガティブな感情を調整して、ごちゃごちゃした緊張を解毒してくれているのです。
うつ病特有の現象として、健康な人の睡眠状態に比べ、睡眠のとても早い段階でレム睡眠に入っているんだそうです。
それがどんな影響を及ぼすかというと、中途覚醒が増えて、浅い睡眠であるレム睡眠も増えてしまうことになると。なんと、うつ病の人は健康な人の3倍レム睡眠が長いんだって。
その分、脳を休息させるノンレム睡眠の割合が削られてしまうんですね。
うつ病の場合、脳がネガティブな感情を解毒する目的を遂行するために、レム睡眠で出力される夢が悪夢になってしまうことがあるそうなんです。
つまり、「ナウシカ」の腐海は汚染された空気を浄化するために存在しているってのに近い?(違うかもw)
脳が活動しているレム睡眠が長い分、たくさん夢をみる。しかもネガティブな感情を抱く分、悪夢になりやすいという条件が揃ってしまう。
さらに脳の休息も不十分なため、疲れがとれないまま。
こんな状態で悪夢に襲われてしまうと、起きてもぐったりして、夢の記憶と緊張がいつまでも後をひいてしまうんですね。
なるほど、そういうことだったんだ!
悪夢をみないようにするため
できるだけリラックスした状態で、よい睡眠をとれるようにすることに尽きるようです。
ただし抗うつ剤を変えて悪夢が続くようなら、そのクスリの睡眠における副作用が考えられます。医師に相談してクスリを変えてもらった方がいいかもしれません。
睡眠前にしっかりリラックスするには、なにもうつ病の方だけでなく、健康な人でも寝付けない時にした方がいいとされている、オーソドックスな方法を実践するのがオススメされています。
睡眠前のリラックス方法
- 眠る2〜3時間前にぬるめのお湯で入浴する(15分程度)
- 半身浴なら40度くらいのお湯で30分程度
- 軽い全身ストレッチを行う
- 眠る1時間前から、PCやスマホのディスプレイ画面を見ないようにする
- カフェインを摂らないようにする(緑茶>紅茶>コーヒー)
- 寝酒をしない
- 部屋を薄暗くする。蛍光灯/白いLEDの強い光よりも優しい白熱灯に
- 静かな環境を作る
- ヒーリング系音楽/自然の環境音などが効果ある人は、小さく流しておく
このほか脳をリラックスさせるのに、寝室に天然のアロマを用意するのもいいですね。
1つだけ注意点として、サンダルウッドはうつ状態の時は避けた方がいいと言われています。
ちなみに私自身、このリストにあることをことごとくやってません(汗)
中途覚醒はありますが、どちらかというと前立腺に問題あってトイレに行くためです。
それでも悪夢が繰り返されることはないので、ありがたいという他ありません。
最後に私が最近みた悪夢
ここで?と思われてしまうでしょうが、すっ飛ばしてくださってOKです(笑)
妻と2人で人が大勢いる屋外の広場にいました。どうやらフェスにやってきたようです。
急に空が暗くなったかと思うと、幅2m×高さ5m×奥行き1mの鋼鉄の板が、垂直にたくさん降ってきました。その板は表面がガンメタで鈍く光り(「2001年宇宙の旅」のモノリスみたいな物体)、角は鋭く、押しつぶされた人は斬首台のようにスパッとカラダを切断されていました。あたり一面血の匂いが充満しています。
私は妻の手をとって、その広場から離れたところにある街まで続く、川沿いの道を逃げました。道は行けども行けどもまわりの景色が変わらず、なかなか街にたどり着けませんでした…。
以上が、私が先日みた悪夢でした。
目が覚めた後も、動悸と血生臭さがリアルに蘇ってきました。
なんとなく、東京湾の花火大会を晴海埠頭の会場へ観に行った記憶がベースになっているような気がします。
この夢がきっかけになって、時間みつけて悪夢の記事を書こうと思った次第です。
睡眠は本当に大切ですよね。睡眠時間が削られると、いろんな障害が出てきてしまう。
たくさん寝ることは、うつの治療に必要なこと。
悪夢が怖くて眠れないというのは、回復を遅らせることにもなってしまいます。
寝る!と決めたら、リラックス態勢に突入しましょう。
いつまでもスマホ見てちゃ、いけませんよ(笑)