うつレポ

外では普通に振舞えても内心ダークサイドの「笑顔のうつ病」

外では普通に振る舞えても内心ダークサイドの「笑顔のうつ病」

少し前にネットで「笑顔のうつ病」についての記事を目にしました。
周囲の人には笑顔で接することができるし、仕事をすることもできるけど、内心ではうつ症状に苦しんでいる人たちがいるという内容でした。
外面はなんとか保てるのですが、家に帰るとクタクタで何をする気も起きない。気力が何も起きない自分を責めてしまう。積極的に自殺をしようとは思わないけど、事故などで突然命を落とす想像には動揺がない。
そんなぎりぎりの生活をしている「笑顔のうつ病」患者。

症状だけ聞くと、ギクッとするほど最近の自分のことを言い当てられているような気がしますが、私自身はすでに医師からうつと診断されていますし、薬ももらっている状態です。
「笑顔のうつ病」ってどういうもの?ってことを探ってみます。

「笑顔のうつ病」の症状例は

米国ピッツバーグの臨床心理士であるハイジ・マッケンジー博士が、「笑顔のうつ病」の症状として、次のような例をあげています。

  • 朝起きて、身支度をして仕事に向かうのがとても大変に感じる。職場に着いてからは元気な従業員として振る舞うことができる(同僚に週末の予定を聞いたり、ランチの誘いにのるなど)が、その間も心ここに在らずといった空虚感を感じる。
  • 予算の調整や幼稚園で子どもたちの面倒を見るなど、仕事は何とかこなせるが、集中力を保てない。家に帰るとクタクタで、夕食も食べず服も着替えずにベッドやソファで眠りに落ちてしまう。
  • セルフケアを最後にしたのがいつかも思い出せない。最低限のことをするのにエネルギーを使いはたし、ジムをさぼったり、不健康な食事で済ませたり、友人からの遊びの誘いをすっぽかしたりしてしまう。
  • 落ち込むことに対して罪悪感や恥辱感を持ったり、何もする気力が起きない自分を責めてしまったりして、常にネガティブな感情が湧いてしまう。
  • 受動的な自殺念慮(死にたい気持ち)がある。つまり、積極的に命を絶とうとはしないが、事故などで突然命を失うことを想像しても動揺を感じない。

Esquire Men’s Healthより引用)

ここに挙げた具体例を知らなかったら、「笑顔のうつ病」っていうのは、職場でうつ病であることを隠して働いているクローズ就労のことを指しているのかな、と早合点してしまうところでした。

クローズ就労されている方も、うつだと悟られないよう「演技」して働いていますから、家に帰ると身も心もクタクタのはずです。
うつをオープンにできる環境であれば、期待通りの理解は得られないにしても、自分に負担のかからない働き方ができるとは思います。とはいっても、それができない環境の方が多いのではないでしょうか。障害者枠での求人の少なさや賃金が少なくなるなどの現実的な問題もありますから。

ふつうに振舞えても、うつ症状を抱えている

周囲の人に自分がうつを病んであることを、悟らせないように生きている人たちがいます。
自分が軽・中度のうつ病であることを認識しつつ、病は病、仕事とは別物だと切り離し、仕事上での自分は、他の人と変わらない働きができる人間だと見てもらいたい。
だから仕事も(シンドイけど)こなすし、話しかけられれば笑顔で応対できる。
これは、うつの治療をしつつ、外面を取り繕う程度には自分をコントロールできている人ともいえます。

しかし自覚している症状そのものにフタをしてしまい、自分がうつであることを認めず、ふつうに振舞ってしまうケースがあります。
当然周囲に助けを求めることすらできません。
こちらのケースが「笑顔のうつ病」として問題となっています。

ふつうに振る舞えるのであれば、うつと言ってもたいした状態ではないのではと思われがちです。
たしかに重度の患者さんには、できないことです。1日寝たきりで外に出られず、ちょっとしたことでも気力がわかずにできないという状態では、職場という環境に身を置くことさえ難しいと思います。
うつであっても、軽・中度の場合は、健康な人より疲れやすかったり不調な日がありつつも、日常生活を送ることはできます。だから外面を取り繕って、内面で抱えているうつ症状にフタをしまうことが「笑顔のうつ病」の深刻なところです。

笑顔の下にある内心では、気分はずっと落ち込んだままで、集中力は保てず、楽しいという感情を実感することができません。何事にも意欲をもてないことに罪悪感を持っていることもあり、批判や拒絶に対して必要以上に傷つく傾向があります。
なにより自発的な行動に向かわないとしても、死にたい気持ちに取り憑かれています。

たとえば彼女がいる、結婚して子供もいる、そして仕事もしている、そんな恵まれた環境にいながらも、自分の内部で起きているダークサイドを、誰にも告げることなくさまよっているのです。

たぶん、こういう人が自死してしまうと、「悩みにまったく気づけなかった」と周囲は悔やみきれず、自分のせいだったのではと重い荷物を背負ってしまうことでしょう。
でもその人の心の中には、機会さえあれば死を厭わない気持ちがあったのです。

笑顔のうつ病はうつ病なの?

ぼんやりと、これは自分にあてはまるかも?と感じた方へ。
きちんとした診断については、専門医による診断が必要です。それでも、診断基準の知識があると、ちょっと安心できるかもしれません。

「笑顔のうつ病」という日本語で紹介されているこの症状は、米国では「High Functional Depression」と呼ばれています。
直訳すると「高機能性うつ」。「持続性抑うつ障害(PDD)」の別名とされています。
Esquireの記事では、

この症状の程度を判断することは難しいのですが、専門家たちはこの言葉を「軽度から中度のうつ病に対する呼称にするのが妥当ではないか…」と考えています。

と書かれています。いろいろ分かりにくくなってきました。

まず、「笑顔のうつ病」の別名とされている「持続性抑うつ障害(PDD)」とはどのようなものでしょうか。
「持続性抑うつ障害(PDD)」は「気分変調症」とも呼ばれ、WHOの診断ガイドラインでは、「冬季うつ病」などの反復性うつ病性障害の診断基準を満たさない程度の慢性的抑うつ気分とされています。

慢性的な気分の落ち込みが2年以上続き、食欲の減退または増加、不眠または過眠、自尊心の低下、興味の衰退、活力の減退、集中力の低下または決断困難などを感じます。子供、青年期では怒り、過敏性も強いようです。

気分変調症とうつ病(大うつ病性障害)は、重なる症状が多いにもかかわらず、別の疾患とされているんですよね。
比較的症状が軽く、うつ病の診断基準を満たさない程度の場合であること。持続する期間が2年以上と長いこと。
この2つの点が主な違いです。

とはいっても、気分変調症とうつ病は、約40%という確率で並存してしまうことがあるそうです。その状態を「二重うつ病」といいます。
また気分変調症は、不安障害、パニック障害、強迫性障害、境界性パーソナリティ障害との併存、薬物やアルコールなどの依存症を伴うこともあるとのこと。

さらにややこしくなってきました…。

「笑顔のうつ病」
=(別名)「持続性抑うつ障害(PDD)」=「気分変調症」≠(別物)「うつ病」
=(程度)「軽度から中度のうつ病」

ただし、気分変調症とうつ病は並存する確率が高く「二重うつ病」と呼ばれています。
まとめるとこうなりますか。

区分はどうあれ辛いことに変わりない

「うつ病」そのものの認知だって、まだまだ前時代的なイメージから更新されていない人も多いのですから、「笑顔のうつ病」の認知は、これからだと思います。
人知れず苦しんでいる人が、すでに病名がついている症例であることを知り、治療できることを認識することが大切ですよね。
「笑顔のうつ病」の治療には、定期的な運動、セラピーによる「認知行動療法」が有効と言われています。思考と行動パターンを改善していく方法を身につけていこうというものです。

長く続く気分の落ち込みのきっかけとなった原因はさまざまあると思いますが、人生に目的や意味を見いだせなくなってしまったことが原因となり得ることがあるとのこと。

人生の目的を再設定すること。一度見失ったものを再び見つけるのは容易なことではないかもしれませんが、存外身近にあるかもしれません。
身近な人に語ってみる、メンタルケアサービスなどを利用して相談してみるなど、まずは気持ちのフタを取り払ってみましょう。

ABOUT ME
二ゴ
うつ病になったのは10年前。それから復職、再発の休職を繰り返し、気づけばもう50代。元の自分に戻るのではなく、別の新しい自分にならなきゃともがいて生きてる最中ですけど、同じようにシンドイ思いをして生きてる人にむけて、少しでも励みになりたいとブログを始めました。