うつレポ

焦燥感・焦りに襲われた時に対処するには

焦燥感・焦りに襲われた時に対処するには

高校の現代国語教科書に載っていた、梶井基次郎の『檸檬』。
妙に心惹かれて、冒頭文は今でも空で言えるくらいです。

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。焦躁と言おうか、嫌悪と言おうか――酒を飲んだあとに宿酔があるように、酒を毎日飲んでいると宿酔に相当した時期がやって来る。それが来たのだ。

青空文庫より引用 梶井基次郎「檸檬」

今から思えば、これはうつ状態の心情を語った小説なのだなと理解できます。
高校時代当時は、すごく繊細で孤独な人物の心象風景を語った小説のように思えていました。

「焦躁」という言葉は、この冒頭文で初めて出会いました。
どういう意味かと辞書で調べた記憶があります。

焦燥(しょうそう)
思うように事が運ばなくていらいらすること。あせること。 「 -感」

三省堂 大辞林より引用

言葉の意味では確かにそうなのだろうけど、焦燥感を実際に体験してみると、もっと緊迫した不安感を伴った焦りですよね。

前置きが長くなりましたが、今日は焦燥、焦ることについて書いていきます。

うつで休んでいる時も焦燥感に襲われる

日々仕事をしている中で、突発的に起こるトラブルや差し迫る期限など、焦燥感に襲われることって色々あると思います。
ところがです。仕事を休んで何もしていない状態であっても、焦燥感はやってきます。うつを病んでいる時には。

うつで休職している期間というのは、心と体を十分に休ませて回復を待つことが目的ながら、度々焦燥感に襲われてしまうのです。
あまりに症状の回復が遅く、休職期限までに仕事へ戻れる状態になるのかという不安からの焦り。

心の安定を、焦りという生理現象は掻き乱します。焦ってしまうことは、回復に支障をきたします。
「焦りは禁物」。うつの治療中、医師と理解ある方から何度言われたことか。
それはうつになった本人ばかりだけでなく、周囲の人へも、不安をかき消すおまじないのように聞かされました。

とは言っても、焦燥感に襲われているさなかに鎮めようとしても、普段から自分なりの焦り解消法を持っていないと対応しきれません。
解消法がないのに「焦るな」と言われても、余計焦ってしまいます。

のちほど焦りを鎮める方法をいくつか紹介します。
でもその方法をいきなり実践するのがキツイ時は、「今は焦ってしまっても仕方ないんだ」と受け入れてしまうことで、気持ちが落ち着いていくことがあります。
このことは覚えておいてくださいね。

焦燥感・焦りが起こる時を整理してみる

焦燥感・焦りの対処法とは

焦燥感・焦りは、どんな時に起きるのか?
整理すると、次のどれかにあてはまる時じゃないでしょうか。

  1. 十分な時間がない時
    筆記試験でまだ6割しかできていないのに、終了時間まであと5分しかない時のような焦り。
    うつの回復期、休職期限内にちゃんと治ることができるだろうか、という不安による焦りはこれにあたりますね。
  2. 予想外な展開に対応できない時
    しっかり練習してきたのに、本番直前に変更を言い渡されて、できていたこともできない時のような焦り。
  3. 他者の存在を意識する時
    パソコン作業中、後ろに上司が立ってディスプレイを見られていると、入力ミスが頻発してしまうというような焦り。

焦燥感は不安とセットになっているのがわかります。
状況のせいで、本来の自分の能力を発揮できない/見せることができない。
焦りに対してどう対処していくか。
抱える不安の中身を整理していく方法があります。

情報整理法

目の前にうわぁと渦巻いている不安を、

  • いますぐ対応すること
  • ちょっと時間のかかること
  • 自分じゃどうしようもないこと

に区分して、いますぐ対応することだけ優先順位をつけて片付けていく。

ちょっと時間のかかることは、気持ちの余裕のある状態になったら対応して、自分じゃどうしようもないことは、ポイっと捨て去ってしまいましょう。
付箋に項目を書き出して、終わったものからゴミ箱へポイっしてしまうのがいいみたい。

いますぐ対応することは、迫った時間順に優先度をつけるのが真っ当だけれど、簡単にできるものから集中して確実に片付けていくのもいいみたいですよ。

認知再構成法

焦った時は、とにかく今の状況を紙に書き出して客観的な視点を導きだそうという方法です。
次の4項目に分類して書き出していって、現状と解決策を見出していきます。

  1. 焦りが生じた状況を書く
    例)休職して2ヶ月になるのに、うつ症状がちゃんと回復しない。あと1ヶ月で会社に復帰できるようになるのか。
  2. 焦りの程度を点数化する
    焦りのMAXを100で、焦りがない時を0にした時、今はどの程度のレベルか。
    例)ー85%くらい。
  3. 自分がつい浮かべてしまう思考を書く
    例)
    ・1日も早く回復して、復職のための準備をしたい。
    ・同じチームメンバーにはすごい迷惑・負荷をかけているに違いない。
  4. 他の考え方、捉え方を挙げていく
    ・今の自分に復職は可能か、医師に相談してみよう。
    ・今の状況を素直に会社に伝え、休職を延長することが可能かどうか相談してみよう。

つまり(4)を導くための思考練習ですね。
はじめに現状を書き出してみて、自分の焦燥感を第三者的視点で見つめ、友達にだったらなんとアドバイスするかな?と考えながら、(3)とは違う考え方を導きだすのがポイントです。

焦燥感に支配されると、ともかく手当たり次第に行動したくなってしまい、どれも中途半端になって失敗やミスも起きやすくなります。
やるべきことを整理する、というのは大切ですよね。

時間をかけずにできるテンプレ的解消法

焦燥感・焦りの対処法とは

ネガティブ思考を一旦停止する

日曜日の夕方になると、翌日から始まる仕事のことを考え不安になってきてしまい、焦燥感に襲われることがあります。
僕はそうなんです。
漠然とした不安が襲って来て、先のことまで考えながら、どんどんネガティブな思考に支配されてしまうのです。

自分の臨機応変さやキャパシティに自信がないことが原因なのはわかっています。

そういう場合は思考を一旦止めて、先のことまで考えず、その時になってから対処できることを一つずつやっていこう、と割り切ると楽になれます。
自分の自信のなさが解消されるわけではないのですが、漠然とした不安に支配された焦りからは、距離をとることができると思います。

自分以外はただの風景と思い込む

人前に出る緊張を鎮める方法として、手のひらに「人」と指で書き、その「人」の文字を飲み込んでしまうというおまじないが有名です。
ほかに、目の前にいる人の頭をキャベツと見立てて、キャベツ畑を前にしているつもりで臨むという方法も。

どちらにしても、人を意識しすぎないように、自己暗示をかけましょうってことですね。冷静でいられるように。

自分以外は「ただの風景」と思い込めばいいのだと思います。
広大なキャベツ畑でもいいですが、絵や絵画でいうところの人物と背景という関係から、人物は自分1人で、あとは背景と割り切ってしまうことです。

ゆっくりと深呼吸する

ゆっくりと呼吸することも、焦りの応急手当として知られています。
「焦るな!自分!」と少年漫画のキャラのように、自分に言い聞かせるよりは、冷静になれます。

息を吐く時をゆっくり行う。思考をあちこち巡らさず、息を吸って吐くことだけに集中する。そうすることで自律神経が刺激され、リラックスしてくるのです。

これは瞑想の一種、マインドフルネスのとっかかりです。

焦りをコントロールするのに、マインドフルネスが有効とされています。
ゆっくりとした呼吸を行なって、呼吸だけに意識を集中させることでまず心を落ち着かせます。

次に心に浮かんだ焦燥感や不安を、風景を見るかのように観察していきます。人前に出る時の緊張を鎮める方法を、物事や不安を対象にして行うのです。
そうすることで、焦りの支配による行動の衝動を抑え、冷静に何をするべきかを探っていきます。

これは訓練が必要かと思います。(自分はまだうまくできません)
マインドフルネスを体験するセミナーも各地で行われているので、一度習ってみたいと思っています。終わった後は「すっきりする」そうなので、焦りの解決にはいいのだと思います。

以上、焦燥感に襲われた時の解決法をいくつか紹介しました。
うつの時でなくとも、状況に応じた自分なりの方法を身につけておくと、ライフハックになりますね。
焦りにいいことはありません。うまくコントロールできるようになっておきたいです。


最後に、うつ病が完全に回復するには長い長い時間がかかります。症状がうまく抑えられている状態である「寛解」をゴールとしていることを理解してください。
完治をゴールとしないことで、焦りの原因となっている「完全に元の自分に戻る」というハードルを下げられるかもしれません。
まずは「寛解」をめざす。それからより強固な回復へ向けて自分をコントロールしていく。

色々知識を身につけたところで、生理現象としての焦燥感には襲われます。
でも解消法を知ってさえいれば、焦燥感に支配されて、よからぬ方向に突っ走ってしまうのは避けられると思います。

今日はこの辺で。また!

ABOUT ME
二ゴ
うつ病になったのは10年前。それから復職、再発の休職を繰り返し、気づけばもう50代。元の自分に戻るのではなく、別の新しい自分にならなきゃともがいて生きてる最中ですけど、同じようにシンドイ思いをして生きてる人にむけて、少しでも励みになりたいとブログを始めました。