なんで自分はこんなにもスペックダウンしてしまったのだろう。
早く良くなって、元のように仕事を頑張りたい。
はじめてうつになった時、そんな風に思っていました。いや、何度か再発するたび、そう思っていたんです。
そうです。良くなっても、同じようにやっていたら、またすぐにガタがくるのです。
今回は、考え方を変えることについて書いていこうと思います。
※ うつの症状は人それぞれ異なります。この記事にある症状は、書いている私自身の場合です。
うつの症状は人さまざま。他人のうつを疑わないで
あなたはスーパーマンじゃない
「何もかも自分一人で解決しようとしていませんか。あなたはスーパーマンじゃないんです」
「今はいろいろダメかもしれませんね。でもダメだっていいじゃないですか」
うつで休職してまもないころ、心療内科の医師から言われた言葉です。
その頃私はある業務のチームリーダーで、自分が抜けたら仕事が回らなくなる!という気持ちが強く、休職してバッサリ休むという選択をためらっていました。でも結局は休むことに。
チームのみんなはがんばっているのに、何もできない自分。ふがいない気持ち、申し訳ない気持ちで、なかなか「ゆっくり休む」状態ではなかったと記憶しています。
そんな頃言われた医師からのセリフ。
正直「なに言ってんの?」という気持ちしか沸き起こりませんでした。
「会社のみんなが待っているのは、元のように元気になった自分で、こんなダメダメな自分なんかじゃない!」
当時は、うつは病気であることは理解してはいるものの、病気であるなら風邪のように治れば元のようになると思い込んでいたのです。壊れた電化製品を修理に出せば、元のように使えるようになるような感じで。
とにかく休め、というのは正しい
休職して仕事から離れた時間をしばらく過ごすと、チームのみんなへの申し訳なさは常に感じつつも、時間のペースがゆるやかに流れていくことに慣れてきた自分がいました。
無気力でカラダがだるく、1日中ベッドで寝ているような状態も徐々に減っていき、近くの公園を散歩することが日課になるようになりました。
図書館に行って、うつ病や新しい働き方についての本をひたすら借りて読んでいました。
テレビは、テンションの高いバラエティ系を観ることがなくなり、トーンが一定で淡々としたNHKのニュースやドキュメンタリーを好むようになりました。
アロマや自然音のCDをエンドレスで流しておくなど、リラックスするための方法も色々試しました。
大きな駅などの人混みに身をおくと、胸の動悸が激しくなり息が苦しくなるといった症状もあったので、できるだけ自宅から自転車で行ける範囲での行動を続けました。
元々気圧が大きく変わる時や、天候が悪い時には体調が悪くなる体質だったので、そういう時は体調とともに気分も沈み、ダメな自分に戻ってしまうのですが、半年くらいのスパンでみれば、だんだんと良くなっていったように思います。
うつになったら、とにかく休みなさい。というのは確かにそうだと思います。
心とカラダを休め、枯渇した活力がまた満ちていくくるのを待つために、必要な時間ともいえそうです。
それまでの自分の生き方・考え方を見直す
自分自身でも、休職した当初よりはだいぶマシになったんじゃないかと感じるようになった頃、次の不安が襲ってきました。
こんなゆったりした時間に慣れた自分が、ふたたび元のように働けるようになるのだろうか、というもの。
自分のペースで自分の時間を過ごす。会社にいるとこれは難しいことです。
復職についてネット検索していくと、うつ再発というワードも多く目にします。
今の状態で職場に戻っても、スペックダウンした自分でしかない。元のように働ける自分を期待してくれてる会社に応えようと、きっと無理はしてしまうだろう。
自分の生き方・考え方を変えていかなくてはいけない。
そう思いつつ、何度もうつを再発し、今にいたっている自分がいます。
当時はまだ若かったこともあり、いいものを作るには無理は当たり前、たくさんの案件を抱え、次々と結果を出していく自分に対する満足感が、支えになっているようなところがありました。
仕事量を減らすわけにはいかない。こだわるところにはこだわっていかないと、自分らしい仕事とは言えない。
でもまた長い休みをとることになってしまったら?
「でもダメだっていいじゃないですか」
冒頭に書いた医師のセリフが頭をよぎります。
うつ病を再発するたび、症状はどんどん重くなっていき、加齢もあってか自分のスペックはどんどん落ちていきました。そう、今の自分はダメな自分です。
なにがいけないかを自覚する
なんだかんだ、復職すると、頑張ってしまう自分がいました。
休んだ分も取り戻さないと!という思いが強く、期待されているならちゃんと応えたい!というのがモチベーションでした。
一見すごく前向きに感じますが、裏を返せば休んでいたことへの引け目が多分にあります。
やがて、自分が思っていたような結果を出せなくなってきました。
自分の中にあるエネルギーをすべて集めてでないと、今まで通りにはできなくなってきました。
エネルギーを仕事に一点集中させているので、遊びや他のことをする余裕がまったくなくなってしまいました。そのエネルギーもどんどん枯渇していきます。
意欲の消失というのが、現在の私の主な症状です。意欲が十分に満たされるまで、休める時は休んだ方がいいよ、と医師(当時とは別の方)からは言われました。
そんな一点集中グセのついた私のよくない考え方を、ここに書くことにします。
ある案件を完成までもっていくために必要なエネルギーを捻出していたのは「この案件が終わるまでは死ねない」という思いです。裏返せば、案件が終わったら死んでもいいというゴール設定。
次を考えなければ、まだ頑張れる。
そして次にやってくるのは、何に対しても意欲を失ってしまい、自信を消失し、希死願望にとらわれる自分です。
本当に、考え方を改めなくてはいけないと実感しています。
別の自分に生まれ変わるために
今までの自分のありようをリセットする必要があると思いました。
再発を繰り返すというのは、多分にそうなりやすい自分の特性に原因があるのです。
うつを患う前の自分に戻るのではなく、別の自分に生まれ変わらないといけないと。
今はまだ試行錯誤中ですが、この考え方にすごく救われた気がしました。
そんな簡単なことに気づくのに、何年かかってるんだよ!と突っ込みを入れたくもなります。
簡単なことではないと思います。自分の中で考えを改めたとして、身を置く環境は今まで通りなので。
それでも、うつの大原則である、焦らず、少しずつ、の気持ちで変わっていきたいと思います。
このブログも、自分が変わるためにはじめたことです。まずは一歩踏み出してみました。