うつ病の人は、体調が悪くて会社に出られないことが、うつでない人に比べて多くなってしまいがち。
気分の抑うつ症状だけでなく、体調の悪さに症状が現れる人も多いのです。
会社に「すみません、体調が悪く動けないため、遅れます」と連絡をする心苦しさったら…。
しょっちゅうのことでしょうから、会社側も「またか…」と思う程度かもしれません。でも、体調がどう悪く、なんで動けないのか、説明が足りないと感じているかも。
重々承知しております。遅れたくて、休みたくて、そうしているわけではないのですから。
説明もしたいと思っているのです。でも、言葉にしたところで、理解してもらえないだろうことがわかってしまうのです。
ということで今回は、体調が悪いというのはどういう状態なのか、ブログで説明していきたいと思います。
あなたの体調なんか、興味ない。と言われてしまうとそれまでですが、身近にそういう人がいたら、こういうことなのか、と思っていただけると、ありがたいです。
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体調が悪い、を具体的に言うと
体調が悪い、と一言にまとめてしまっていますが、実はいろいろな症状があります。
同じような症状が続くこともありますが、昨日と今日は別の症状、というような日替わり状態もあったりします。
よく例えとして用いられるのに「熱のないインフルエンザにかかったような状態」というフレーズがあります。
体がとにかくだるく、意識がぼんやりとして、ふらつき、めまいを伴います。
まるでプールの中を歩いているかのような、体を動かすのに抵抗を感じたり、足腰に力に入らないことも。自分だけ重力が余計にかかっているような体の重さを感じることもあります。
そして、横になって寝ていたい、じっとしていたいのです。
うつがひどい時は、このような体調の悪さが続きます。
インフルエンザなら、薬を服用して2、3日すれば、回復に向かっていくのを実感できますが、うつの場合にはそれがなく、終わりなく続いていく不安に襲われます。
また「日内変動」と呼ばれる、朝から午前中にかけて〈だけ〉症状があり、午後は大丈夫というパターンもあるんです。(逆に午後がダメという人もいます)
また、貧血のような気持ち悪さに襲われることもあります。
座った状態から立ちあがった時の立ちくらみが、一瞬でなくしばらく続く感じです。
実際、貧血状態で気を失うこともありました。トイレの最中、頭から血の気が失せていくのを感じて、ヤバイと思ってズボンをあげたあと、気がつくと洗面台の前で倒れていたというのも何度か。
比較的、世の中的に一般的な症状もあります。
胃のあたりが重かったりムカムカして、胃がここにあるとわかるような感じとか、吐き気も。そして首の後ろから肩、背中が凝って、頭痛がやってくることも。
気力の芯がふにゃけてる
インフルエンザにかかった時や、高熱が出た時であっても、気力が普通の状態であれば、自分で病院に行くことができます。
胃が重くムカムカしたり、頭痛があっても、二日酔いにはよくあることで、そんなことでは会社を休んだり遅れたりしないって人も多いはず。
なぜ体を動かすことができなくなって、家や部屋から出られなくなってしまうのでしょう。
体の症状とは別に、メンタルの状態が加わっているからです。
先ほど気力が普通の状態であれば、と書きました。
普通なら気力と行動はスムーズにつながっていて、いちいち気力を意識しなくても行動に移せます。
それができなくなるのです。
私は、気力と行動の間には「回路」のようなものがあると思っています。回路内で抵抗が加わり、行動まで気力が伝わらなくなってしまうというイメージです。
回路内の抵抗は、心理療法的には、無意識の不安感やなにかに対する抵抗感だと言われています。
そう言われて、「あのことがプレッシャーになっているのかも」と自覚できるものもあれば、まったくわからない場合もあります。
たとえば、会社に行くと苦手な上司がいて、自分が万全な状態でないと打ち負かされるという気持ちであったり、人混みの中で急に倒れてしまうことになるかもしれない不安感であったり。つまりは、自分でコントロールができない、さまざまなことへのプレッシャーです。理由は1つだけでなく、いくつも複合的なことが絡まっていることが多いようです。
でも、もう一度書きますが、なにがプレッシャーになっているか、わからないことがあるのです。
疲れが蓄積してて、今は動くな、と無意識が警告しているとしか思えないことも。
そして、ひたすら情けなくなる
気力が普通の状態であれば、体調が悪くても家を出ることができます。
ここで、「なぜ今の自分にはそれができないのだろう?」と自分を責めることになってしまうのです。
気力が普通の状態でない、うつという自分で自分をコントロールすることができない病気なのだと分かってはいても、動けない自分を「病気だから当然」のこととして受け入れることは難しいです。
情けなくて、どうしていいかわからなくなってしまい、「自分は役に立たない、いらない存在だ」と思いつめてしまいます。
だから、休んでいたとしても、心から休めているわけではないのです。
本当は、うつの人こそ心から休む必要があるのに、それができない。そのせいで、余計症状の回復を遅らせてしまう悪循環に陥ってしまう。
長期休職になってしまった場合、自分だけ戦線離脱してしまって申し訳ない気持ちと、日常生活にも支障がある「できなくなってしまったこと」の多さで、自分を責めてしまう時期があります。その時期を乗り越えて、しっかり休んで病気を治そうと思えるようになるまで、長い時間がかかるのです。
インフルエンザになったのであれば、会社の人も「治るまで休んでなさい」と言うでしょう。無理して出てきて移されたら嫌だし、年に何回もあることでないし、どういう状態に陥っているかの把握もできますから。
でも、うつでしょっちゅう体調が悪い人には、心無い言葉を投げかける人も残念ながらいるのが事実です。
うつという病気になると、どういう状態に陥ってしまうのか、理解しにくいことが多いですから。
理解は難しくても、知識として持っていることは、今の時代MUSTなんじゃないかと思うのですが。自分が経験したことでなければ、実感も理解もできない、という人は多いですよね。
NHKがたまに放送している、うつを特集したスペシャル番組。当事者として興味をもって、録画してでも観てしまいます。そして毎回思うのです。会社の人にこの番組を観てほしいな、って。
まとめ
体調が悪い、と伝えられて、どういうふうに受け取るでしょうか。
たとえば、こんな状態なんですよ、というのを今回ご紹介しました。読んでで、こっちまで具合が悪くなる!と思われた方、申し訳ないです。
うつを病んでいる人の場合、精神論・根性論を持ち出されても、なんの意味もありません。それどころか自分を責めている人に、悪影響を与えてしまいます。
身近にうつを病んでいる人がいたら、自分の経験から判断するのでなく、病気の特徴を理解するようにあげてほしいです。頼みますよ…って思いです。