ココロとカラダ

「世界の心理学50の名著」広く浅く心理学のエッセンスを学べるよ

「世界の心理学50の名著」読みやすくて初心者におすすめ

自分の「うつ」を理解したい思いから、心理学への興味が湧きました。
そういう人って、少なくはないんじゃないでしょうか。
ツライ経験を知ってるからこそ、同じように苦しんでいる人の力になりたいと、本格的に心理学を学ぼうとしている人をツイッターで見かけることがあります。頼もしい!

自分のことは自分が一番わかってる、と思いがちです。
でも自分の考えは、これまで生きてきた経験がベースですから、先人の豊富な知見を前にしたら、しょぼいものだったりします。

社会人が心理学を学ぶには、基本、本を読むことになります。
とりあえず入門とタイトルについた本を手にとるでしょう。入門書であっても、「そういう考え方があるのか」と目からウロコだったり、誰かが言ってたことはこれが元ネタかぁとわかることもあるでしょう。

しっかり自分を持った人間として生きていく術を身につけるため、中学・高校でライフハックとしての心理学を学ぶ授業があってもいいんじゃないかと思うくらいです。

今回紹介する「世界の心理学50の名著」という本は、心理学に興味のある初心者が手に取る本としてはもってこいの一冊。
辞書のように分厚い本ですが、ひるむ必要はありません。翻訳本ではありますが、とても読みやすい文章で、どんどん読み進めていけます。

▶︎ 「世界の心理学50の名著」 (LIBERAL ARTS COLLEGE)
T・バトラー=ボートン 米谷敬一訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊
(ソフトカバー単行本・2019年発行 2,750円)
[Amazon]
*今なら5% OFFのクーポンあり!

*2008年発行の
ソフトカバー版(1,683円)Kindle版(1,258円)もあります。

できる人のノートを読んでるよう

「50の名著」とタイトルにある通り、この本は心理学にエポックな功績を残した学者・研究者が書いた本から、一般の人でも読みやすいものという観点で選ばれたブックガイドです。

1つの本を、内容の要約と心理学的な意義、著者の説明という構成で、8〜10ページにまとめています。著者の研究がどういうもので、原著でどのような考えが示されているのかが、わかりやすく解説されています。

引用されている原著の一文を読むと、読みやすい本という選定基準ではあるものの、いきなり原著だとポイントをつかむのは難しいかも、と思うものがあります。このブックガイドを一読したうえで原著にあたれば、本筋を外さずに理解しやすいんだろうな、と感じた次第です。

専門分野の翻訳本ながら、文章がこなれて読みやすいというのも、おすすめの理由です。
冒頭の推薦文を見ると、もともとの文章がわかりやすく書かれているようなのですが、翻訳者の米谷敬一氏もいい仕事をされているんじゃないでしょうか。

試験前に、できる人のよくまとめられたノートを見るような、やべぇ、わかりやすい!という感じをこの本から受けました。

体系だって紹介されているのがありがたい

この本では、50の名著を、次の7つのテーマに分けて紹介しています。

  1. 脳科学から考える人間の心理
  2. 無意識の影響力
  3. 幸福の心理学
  4. 自分を理解するための心理学
  5. モチベーションの研究
  6. 私たちが愛する理由
  7. ビジネスに効く心理学

「心理学は遠い昔から存在しているのに、その歴史はまだ浅い」
という言葉が紹介されています。
この本は、心理学の歴史を知るにも役立ちます。この人のこの論があったから、次にこの論が展開されたというのがわかってくるのです。

心理学というと、フロイト、ユング、アドラーの御三家が有名です。
またマーケティング提案で持ち出されるマズロー、条件反射の代名詞のようなパブロフ、ゲシュタルト崩壊という言葉だけがネットスラングのように使われるゲシュタルトなど、なんとなく名前だけ知っていた人が、どんな研究をしたのかを知ることもできました。

心理学関連の本を興味のあるものから読んでると、○○心理学というものが乱立しているように感じてきます。○○心理学の点と点がつながり線となっていったってことが、やっとつかめました。

たんに歴史順に紹介されているのではなく、世の中の人々は心についてどんな知識を求めているか、ユーザー目線のテーマ分けになっています。
自分が一番知りたいテーマから、次第に周囲のテーマに読み進めていけるような構成です。

紹介されている50冊はすべて海外のものですが、そのほとんどに邦訳情報が記されており、なるほど重要な本ばかりなんだな、と思った次第です。

心理学は停滞している?

本の話からちょっと離れますが、友人が購入した海外メーカーの新車に乗せてもらったら、運転サポートや乗り心地の制御で、数々の科学技術の発達を実感しちゃいました。

そのような科学技術のめざましさに比べると、心理学という分野は、ある時代から大きな発展が起きていないように言われています。
そのかわりに伸びてきたのが、脳科学という分野。

人体の小宇宙でもある「脳」を知ることで、心の働きまでもわかってくるようになりました。
臨床例をベースに論が形成された心理学よりも、より再現性の高い科学としての脳科学のほうが、信頼性が高いような気が素人ながらに思います。
この本が、よくある心理学入門書のようにフロイトから始まるのではなく、脳科学から始まるというのが「今」っぽくないですか。

数年前から注目を浴びたアドラー心理学で、ストレスの大きな要因である人間関係から、どう自分を守っていくかの知恵をいろいろ学びました。
そのアドラーは、フロイトやユングと同時代に生きた人です。人間の心を知る試み、心を病んでしまった人を救う手がかりとして、先人の残した心理学は、コンピュータ解析と脳科学が発達する前にここまで行き着いていたというのも、ある意味驚きです。

この本が脳科学から始まって、ビジネス書まで網羅しているというのも、心のあり方を知りたいと思う人々の関心の広さが、一つの分野だけじゃフォローできるもんじゃないのだなというのがわかる展開です。

やっぱり無意識と幸福だよね

心理学をかじるきっかけが、私の場合は[この記事]にも書いたように、ユング心理学でした。
ユングといえば、「無意識」が重要なファクター。
フロイトもそうですよね。
心の奥に潜むものを考えると「無意識」という存在に行き当たります。意識できないものなのだから、そういうものがある、という知恵がなければ、存在にさえ気づかないかもしれません。

心理学で無意識にフォーカスするのは、「深層心理学」系という一分野ですが、私にとって心理学と無意識は密接にくっついてます。学問としての心理学全般から見た重要度はどうかわかりませんが。
この本のテーマ分けが、ホットな話題の「脳科学」からはじまって、次に「無意識」がテーマになっているのを見て、「おぉ、やはりそう来る?」と思ったものです。

そして、自らの心をより理解したいと思う根本には、幸せになりたいという願望があると思うんですよね。
マーケティングの戦略に心理学を応用するにしても、やはり人が幸福感を抱くにはどういうアピールが必要か、という点が重要になります。

だから、無意識→幸福とつづくテーマ展開にも、「そうだよねぇ、やっぱりそこがベースだよねぇ」とニヤリでした。

レイアウトも秀逸

「世界の心理学50の名著」は初心者におススメのわかりやすさ

もしもこの本が、ぎっしり文字を流し込んだだけの新書みたいな中身だったら、こんなに読みやすかったかな? 辞書みたいな厚さで、辞書みたいな中身だったら?
そう思うと、レイアウトが工夫されているのも、読みやすさを感じる重要ポイントです。

本の概要、著者の研究内容やその位置付けなどは、黒地に白抜き文字の見開き2ページにまとめ、続いてもう少し詳しく内容をコンパクトにまとめたページが、通常組みでまとめられています。
そして最後に「心をより理解するために」というコーナーを別の組み方で、ポイントを押さえる構成です。
50冊分このパターンが繰り返しとなるのですが、読んでいくうちに視覚的な変化がテンポになっていくんですね。

奥付をみると、エディトリアル・スタッフにたくさんの人の名。
これだけの人の手によって、この1冊ができあがってるのかと思うと、その情熱にも心動かされます。


心理学を広く浅く学ぶのに、もってこいの一冊。
手にとって、ズシンとした重さを感じとってください。

▶︎ 「世界の心理学50の名著」 (LIBERAL ARTS COLLEGE)
T・バトラー=ボートン 米谷敬一訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン刊
(ソフトカバー単行本・2019年発行 2,750円)
[Amazon]
*今なら5% OFFのクーポンあり!

*2008年発行の
ソフトカバー版(1,683円)Kindle版(1,258円)もあります。

ABOUT ME
二ゴ
うつ病になったのは10年前。それから復職、再発の休職を繰り返し、気づけばもう50代。元の自分に戻るのではなく、別の新しい自分にならなきゃともがいて生きてる最中ですけど、同じようにシンドイ思いをして生きてる人にむけて、少しでも励みになりたいとブログを始めました。