うつ病になってわかったことの1つに、「これやろう」と思ったことを行動に移すまで、いくつかの回路を経ないとすぐに行動できないものなんだな、ということ。
人生設計のような大きなプランを実行するわけでなく、コーヒーが飲みたいからお湯を沸かそうってくらいの日常レベルのことで、<やろう> → <行動>の間に、一昔前のPCのように「ぐるぐる」処理中の待ち時間が発生するのです。
今日は、そんな状態のことについて書いていきます。
その怠さ、カラダが動かないのは「精神行動抑制」っていうんだよ
朝起き上がることがなかなかできず、起き上がっても最初の行動ができるまで、すごい時間がかかる。
駅まで行って電車に乗ることを考えると、なかなか家を出ることができない。
忙しい朝の時間、そんなのろのろやってたら、遅刻しちゃうじゃん!
普通の人なら、意識がそっちに向かって、条件反射のように次々準備を整えて家を出ていけるでしょう。
それができないんですよ。
動けなくなるんです。
遅刻ながらやっと出社して、仕事にとりかかろうとしても、頭の中は空っぽ状態で、かんたんな作業でもやたら時間がかかってしまう。
なにやってんだ、自分。しっかりしろ、自分。
気合いでどうにかなれば、病気じゃないんですよ!
これはうつ病の時の症状「精神行動抑制」というものです。
意識や行動を司っている脳の中で、トラブルが起きているのがうつ病です。
脳の一部が萎縮していたり、情報伝達物質がうまく流れていかないことから、行動が抑制されてしまうのです。
これが冒頭に書いた<やろう> → <行動>の間にある回路が不具合起こしてる感じってことでしょうか。
必要な薬を飲んで、脳を休め、元の状態に戻るのを待つしかありません。
骨折したらギブスをして動かないように固定させますよね、気合いでくっつけるのは無理ですよね。そういうものなのです。
ただカラダの症状として、怠くて動けない、気力がなくて何もできないというのは、わかってもらいにくいことでもあります。
「ダリィ〜」って言ってしゃがんでるヤンキーかよ、なんて思われかねません。
動き方がギクシャクしてしまうのは、筋肉痛かよと思われてしまうかもです。
他のうつ病患者さんは、この状態をなんと表現しているんだろう?ってネット検索しまくったことがあります。
誤解を与えない表現としては「体調不良」が無難なのかな、と思いかけたころ、「精神行動抑制」という用語に行き当たりました。
ただ「精神行動抑制」と伝えたところで、わかってもらうのはやはり難しい(面倒)と思い、うつの身体的症状による体調不良を理由にしています。
頭が働かない、すぐに返事ができないのは「精神思考抑制」っていうんだよ
「精神行動抑制」とセットで説明される症状として、「精神思考抑制」というものがあります。
こちらはうつの身体的な症状ではなく、思考が抑えられたり停止する症状のことを言います。
頭の中がぼぉーとして何も思い浮かばない、何か言われてもすぐに返事ができない、相手が言ってることの内容が理解できないといった状態のことです。
記憶についても思い違いが多発したりして、自分バカになってしまったんじゃ?と思ってしまいました。
自分が怠けているだけなんじゃないかと責めたり、同僚が自分のことを迷惑がっている、といった「認知の歪み」についても、症状としては「精神思考抑制」症状に含まれます。
私はつい自分の立場で書いてしまうので、会社や仕事上での具体例を挙げてしまいますが、「認知の歪み」については、女性の場合、関係性における過剰な役割意識やコミュニケーションの喪失からも、強まってしまうとのことです。
うつがひどい時は、そうでない時よりもIQが10ポイント以上低くなるとも言われています。
脳が萎縮しているわけですから、仕方ないのかもしれません。
だから、うつの間には、大きな決断は見送った方がいいと言われるんですね。正常な頭ではないんですから、正しい判断を下せないことも多々あるということでしょう。
「精神思考抑制」症状も、うつが良くなっていけば、元に戻っていくようです。
脳を休めると同時に、「〜すべき」「白か黒かはっきりさせる」思考から、自分を解放させていくといいようですよ。
まとめ
- 精神行動抑制
→カラダが怠くて動けない、取り掛かるまで時間がすごくかかる、動きがのろくなるなどの症状
→自分の症状にこの用語を使いたいが、伝わるかはわからない - 精神思考抑制
→頭の中がぼぉぉとして何も思い浮かばない、すぐに返事ができないなどの症状
→認知の歪みもこの中に含まれる
うつは、脳の中でトラブルが起きている状態。
必要な薬を飲んで、しっかり脳を休ませて、回復すれば元に戻っていきます。
うつのことを理解して、一緒によくなっていきましょうね!