うつ症状に落ちている時、うつの回復期にいる人の活動的なツイートや、ブログでのアドバイスに、興味はあっても受け付けなくなってしまうことがあります。
今の自分のようなどん底状態から抜けていった人への羨ましさと、今そんなこと言われたってできないよ、という情けなさが、自分へのプレッシャーとなって遠ざけたくなってしまうのです。
いろんなことができない自分に対する戸惑いと、苛立ち。気持ちの余裕がゼロに近いため、自分のことしか考えられず、物事の認知も歪みまくって、卑屈になってしまうのです。
ほんとうに、すみません。
うつを病んでる人が身近にいる場合、どう接していいかわからないと思います。
何気なくかけた言葉が凶器となってしまい、深く傷つけてしまうこともありますから。
かといって腫れ物に触るような気の使い方をされても、自責の念にとらわれてしまうのです。
めんどくさいですね。すみません。
うつでエネルギーが消失している状態をみて、なにか言いたくなるかもしれませんが、どうか否定や批判だけはしないようお願いします。本人が段階に応じてなにかできるようになるまで、見守ってあげてください。
あとは普通に接すればいいかと思います。
というわけで、今回は、うつがひどい時の状態を書いていきます。
ただしこれは自分の場合です。うつは人によって症状がさまざまです。これはわかるけど、これは自分とは違うなってこともあると思いますが、そういう人もいるってことで、軽く受け止めてください。
うつがひどい時は動けない
気分が落ち込んでいる状態が長く続くことだけが、うつの症状ではありません。
ざっくりいうと、生きる気力を失ってしまい、アンデッドな状態になってしまいます。
なにげなく行なっていた日常生活のさまざまなことが、できない焦り。頭の中が、脳でなく泥しか詰まっていないかのような、朦朧感。とにかく体がだるく、動くのが億劫になる。
この状態を、高熱のないインフルエンザにかかった時のような感じ、と表現することがあります。
横になった缶を縦にもどすのにも、あー立てないとな、と思ってから、体を少し動かし手を動かして動作させるまで、数十分かかることがあります。
動きがゆっくりで時間がかかるのではなく、ひとつひとつの動作でいちいちフリーズしてしまい、なかなか先に進めないのです。
宅配便屋さんがピンポーンときても、体を動かして玄関まで出るのに時間がかかってしまい、気がつけばポストに不在届が入っていたってことはザラです(宅配便屋さんごめんなさい)
肉体的に問題があるのではなく、活動するためのエネルギーが枯渇して、とにかく寝っ転がっていることしかできない。これが、うつで症状がひどい時の様子です(私の場合はそうでした)
淀んだ意識の中で、なんで?どうして?と動けない自分への憤りを感じつつ、どうすることもできない絶望感に落ちていました。ベッドの中で横になっていると、そのままの姿勢で、深い地の底に落ちていくような感覚もありました。
苦しいのは、そういう状態が、実際のインフルエンザのように、3日も寝ていれば回復してくるというゴールがないことです。ずっと続いていく不安、恐怖。
頭痛、めまい、胃の不調がともなうこともありますが、肉体的にはマトモなので、それで動けないことに不甲斐なさが増していくのです。
いま症状が重い状態の人も、しっかり冷凍マグロのようにゴロゴロして休みをとっていけば、だんだん回復していきますから!
ひたすらゴロゴロすることに専念する
ダメな時は、ゴロゴロする。ひたすら寝る。これしかありません。
全身全霊でゴロゴロしましょう!
なにもできないなんて考えず、なにもしない!と腹をくくるのです。
なんども経験していると、落ちてる時はそう開き直っています。できる時にやればいい、ってね。
私の場合、ラジオを聴くようにしていました。
テレビやネットは、見るという行為をしないといけません。集中力が保てないのと、感情的に刺激を受けてしまう内容にでくわしてしまうリスクもあります。
テレビのバラエティ番組やYouTubeの高いテンションのトークには、気持ち的についていけなくなります。
その点ラジオは、局や番組によりますが、たいていは1人のリスナーに対する語りかけというスタイルのため、聞き流して聞いているのにぴったりです。
トレンド紹介のようなコーナーがあれば、世の中とのつながりもぼんやりと感じることもできます。
忙しくしていて知らなかった、最近流行っている曲についても、ぼんやりと耳に残ることができます。
YouTubeの素人トーク番組に比べると、ラジオ局の番組って、声のトーンやボリュームが一定で、技術の違いを思い知ります。落ちている時は、その一定さが気持ち的に受け入れやすいのです。
あと、小説の朗読も聞いてました。
私の場合、江戸川乱歩の小説を朗読しているYouTubeがマッチしていました。
もともと乱歩の世界が好きだったこともありますが、熱血で前向きなものより、病的なもののほうが浸透圧的に受け入れやすかったのかなと思います。
焦りは禁物
うつの症状は、トンネルにも例えられるけれど、一般的には「波」のようなものと言われています。
短い波、長い波。波が引いて、次の波がくるまでの間がより長くなっていくことが、治っていくってことです。
うつの回復には、思った以上の時間がかかります。焦らないってことが一番重要です。っていっても、焦っちゃうもんなんですけどね。
休んでいる間、あの仕事は誰が代わってくれているんだろう。
忙しいのに、なんであなたの分までやらなきゃいけないのか、って文句言ってるだろうな。
自分がいなくても仕事がちゃんと回ってるってことは、自分はいらない存在なのか。
休みが明けて、また元のように働くことができるのだろうか。
そんな風にいろんなことを考えてしまいます。
それはたいてい、ネガティブな方向へ結論を持っていきがちです。そうなると、不安と自己否定感に苦しめられてしまい、せっかくゴロゴロ休んでいるのに、心を休ませることができません。
一足飛びに良くなっていくことはないのだから、せめて自分で自分の回復を妨害することは避けたいところです。
先のことは考えず、まずは今のことだけ。
その今、なにをするといえば、ひたすらゴロゴロして脳を休ませるんです。
やがて、ゴロゴロしていることに飽きてくる時がやってきます。
飽きてきて、なにかしようと思えてくるまで、ゴロゴロする以外なにもしないでください。
小さなできることをひとつずつやってみる
ゴロゴロするのに飽きてくるということは、枯渇したエネルギーが貯まりはじめたということ。
なにもしていないことに、時間を持て余すようになってきたら、めっけもの!
まずはハードルが低い目標をたて、それをクリアしていくことで、これならできる!を増やしていくとしましょう。
歯を磨くことができた。コーヒーをいれることができた。洗濯することができた。
そして宅配便屋さんが来た時、玄関で受け取れたとなれば、日常生活を送る程度に回復するための1ポイントをゲットした気分になれます。
回復期に向かっている人の「朝のお散歩がいいよ、短い時間でもいいから」「読書をするといいよ」というアドバイスは、たしかにその通りなんですけど、まずは次のステップとしてやってみようぐらいの気持ちで受け止めればいいです。
お風呂に入ることができなくなる、身だしなみを整えることができなくなる、というのもうつの症状であります。
回復期にある人であっても、これは日常にあるハードルの高い項目です。
小さな目標のハードルのなかでも、最後の方にこれらは設定しておきましょう。
お散歩ができるようになるまで
病院へいくために外に出る必要はありますよね。残り少ないエネルギーを寄せ集めて任務を終えて帰ってくると、力尽きてゴロゴロしちゃうかもしれません。
見た目は病気っぽくなくても、病人なんですから、それは仕方ないこと。
少しずつ慣らしていくしかないです。
ゴロゴロしているだけ状態からマシになってきても、家の外に出るまでには、まだ日にちがかかりました。
家の外に出るのが怖く感じるのです。もし急に具合が悪くなってしまっても、すぐ横になれないし、自動車や人の動きに、体がすばやく反応できないかもしれないなどの不安を感じてしまって。
自分のことを自分でコントロールできなくなってしまうのがうつ病です。自分以外の予測不能な環境に対応できるとは思えなくなっているのです。
家の中だったらふつうに生活できるまでになってきたら、不安を克服する練習として、少しずつでいいから、外に出てみましょう。
回復するためにも、やれるところから手をつけていかないとね。
はじめは3分で戻ってきてもいいし、一番近くのコンビニまで行って帰るだけでいいから(すみません、都会でないとコンビニまでがけっこう遠い場合がありますね)。
家の中にいる格好に、ちょっと上着をはおって歩いて行けるのはどれくらいかな、というのを試してみませんか。あの信号までとか、あのジュース販売機までとか、ここまでは自分のテリトリーというエリアを作っておくと、安心感を得られます。
自分のテリトリーができあがったら、次のステップとして、落ち着いた雰囲気の公園や神社のような場所まで、お散歩をしてみましょう。
朝のお散歩がいい、とオススメされることが多いと思いますが、午前中は行動抑制が来てダメって人もいます。人目が気になるので、夜なら外を出歩けるという人もいるでしょう。時間を気にせず、自分の都合でやってみればいいと思います。
ゴロゴロするしかなかった期間で、筋力は衰えてしまっています。体を動かすことは、元気になっていくためにも大切なこと。歩きながら景色を楽しむことで、脳にも刺激となります。
あくまで無理は禁物ですけど、お散歩ができるようになったら、なにかやってみようという気持ちも芽生えてくるかもしれません。
自分の病気について、情報を集めて勉強できるようにもなってくるでしょう。
焦らず、ゆっくり、自分を取り戻していきましょうね。